FN76号
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FIELD.NOTE361月20日、9時30分に「都留市立病院前」を出発する左回りのバスに乗ります。日曜日で病院も休みだから乗ってくる人もほぼいないだろう。そう思っていましたが、「都留市駅」で1人、「谷村高校前」で1人、と意外にも人は途絶えません。 大学周辺を回り、宮原へと向かうトンネルに差しかかったとき、バスは都留トンネルではなく鍛冶屋坂トンネルへと向かい、都留第一中学校の前を通り過ぎました。この道は信号もほとんどなく、家と家のあいだを縫うように敷かれた細い道で、すぐ隣の都留バイパスのほうがもっと道幅も広く走りやすそうです。なぜわざわざこんな道を……と考えていると、壮年の夫婦が乗ってきました。そこであっと気づきます。バスを利用する人のなかには、自宅からバス停まで辿り着くにも一苦労のかたもいるでしょう。対向車との行き交いにもひるむことのないバスは、利用者のためにこの細い道を走っているのです。 バスは戸沢へと向かう道を、エンジンを唸らせぐんぐん上っていきます。「芭蕉月待ちの湯」で何人か降りていったのを見届け、折り返して菅野川と併走するように下ります。 先ほどの夫婦は「赤坂」で降りていきました。富士急行線に乗って遠出をするのでしょうか。それともお買い物? 少しのあいだ一緒に乗り合わせただけの相手にも興味は尽きません。そんなことを考えていると、見覚えのある風景に戻ってきました。出発点である「都留市立病院前」をもう一度通過した後、終点の「都留市駅」で、ひとまずバスを降ります。1周1時間ほどの小旅行でした。バスに乗る人びと 2月5日、13時38分に「谷村町駅入口」を通過する左回りのバスに乗りました。平日のお昼すぎという時間帯のせいか、乗客は先日よりも控えめです。しばらく運転手と私だけ都留市内を循環するバスを目にしたことはあるでしょうか。バスの運行は以前からありましたが、市内循環バスは2012年8月から始まりました。車とも電車とも違う存在からは、どんな景色が見えてくるのでしょう。芭蕉月待ちの湯都留市駅都留市立病院前赤坂ビッグアイ前谷村高校前産業短期大学前谷村町駅入口宮原右回り→←左回り都留文科大学前上戸沢大澤かおり(社会学科4年)=文・写真都留市循環バスの路線図バスの外観。市内循環バスは1乗車につき、200円。左回り、右回り各3便ずつ運行しているバスという場所FIELD.NOTE

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