FN76号
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FIELD.NOTE38「英」の第二印象 初めて「英」の館内に入ったのは半年以上前。「芸術にも今やってる企画展にも詳しくないけど、入って大丈夫だろうか」と少し躊ちゅうちょ躇しながら入り口をぬけると、受付があった。受付のかたはお昼ご飯のさいちゅうだったようで、少し慌てながら、こんにちは、こんなところをお見せしてすみませんね、とはにかんでおっしゃり、私はその親しみやすい様子に緊張がほどけた。約90㎡の館内には、たくさんの静物画が、暖色の照明に照らされ、グレーの壁に展示されていた。 作品を見ているうち、何だか覚えのある薬品のような匂いがすることに気が付いた。館内の作品を一周して見て戻ってくると、受付のかたがいろいろと話し掛けて下さり、「英」について知る機会が得られた。その時分かって驚いたことが二つある。一つは、「英」の2階が歯医者さんで、その院長さんである西にしむら村光こうたろう太郎さん(61)がオーナーをなさっている、ということ。館内の懐かしい匂いの正体が判明してしっくりきたと同時に、歯医者さんと画廊が一体化しているなんて、あまり見たことのない建物だな、と思った。もう一つは、私にとって文字というより、図として建物を象徴していた「英」の字は、「はなぶさ」という読みかたを持っていたことだ。2007年に「英」を開設された、オーナーの奥様の英えいこ子さんが自身の名前から名付けた、という由来も知ることができた。 入る前は、芸術品が展示してある場所、ということだけで、何となく格式高く近寄り難い感じがして、入るのは一度きりになるかもしれないと考えていた。しかし、帰り際には、学生さんが来ると嬉しいという受付のかたの言葉や、落ち着いた「英」の雰囲気の居心地のよさに、また来たいなという気持ちになった。 久しぶりに 二度目の入館を果たした、1月23日。この日は、「丸まるやま山東とう子こ展」の開催期間中であった。前回と同じように、館内を一周して作品を見て回ったのだが、以前と雰囲気が違う。半年前はすごく目立っていた館内を移上谷の国道沿いを通るたびに、無意識に目に留まっていた緑色の「英」という文字。ある日、「英」とはどういう建物なのだろうと思い、初めて看板を注視して、英という文字の前に「ギャラリー・喫茶」とあることに気がついた。その時から、建物の両脇に置かれた達筆な手書きで「○○展」などと書かれた看板にも目がいくようになり、いつか入ってみようかな、と思うようになった。    平井のぞ実(英文学科4年)=文・写真ギャラリー・喫茶「英」の入り口。木製の味のある看板が目にとまる英はなぶさFIELD.NOTE

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