FN76号
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本格的なことにしなくてもね、草花は、自然のものは、煮ればどんなものでも汁が出るって。昔は染色がね、今みたいに化学染料がないときはみんな、もち草でもなんでも野にあるものが全部ね、染色の対象になってたから、紅花だってそんな難しいことしなくもいいって思って、花が出たら花びらを全部摘んだの。そしてその花びらをお鍋で煮たわけ。それに今までとおなじように染め物を入れて、そしてクエン酸を入れて仕上げたら、すっごく綺麗なああゆう黄色が出たの。 だけど本当の紅花染めってのはね、朱色になるんだって。でも私は本格的じゃないから、ちょっと黄色の濃いようなね、オレンジ色になって。でも私 はね、それで上等だって思ったの。それで汚れがわかんなくなるんだもの。それで「ああ、これで成功した」って思って。 私、そうゆうふうにリフォームしながら、今年の(『和服リフォーム展』の)タイトルに「そだて 育てられて」って書いたけれど、何かしながらだんだん、そのやってることによってその知恵を授かってくるのね。ね、次から次へと。物事ってのは行動を起こしていくと、その行動の先に知恵がついてきたり、生まれてきたりするのね。もっと「染め物」っていったらば、ほんとに専門的なね、染色やってる人もいるだろうけど、私がした染め物っていうのは、エコなものをね、再生しようと思ってした染め物なのよね。だからここにあるのは全部、藍で、玉ねぎで、紅花なのね。 やってみるとね、土をいたずらした労働ってのもね、気持ちがいいよ。その思いが収穫につながるのね。布ばっか手で触っているけれど、土を触って掘り起こしたり、蒔いたり。そうゆう作業もおもしろいよね。だから、一つのことをしようと思って広がってゆくっていうね。だんだんこう、広がりを持って発展していくってのは、すごい楽しいことだと思うのね。静江さん流 染め物講座①材料を鍋で煮る②材料を取り出し、煮汁に布を入れて、また少し煮る。 沸騰した後、さらに15分ほど煮る③媒染(色止め)のためにクエン酸あるいは酢を入れる。 そのあと10分ほど置く④煮汁から布を取り出して水洗いし、乾かす▶玉ねぎは金茶色、赤シソは淡いピンク、紅花は赤み が強い黄色になる①藍の葉を、水と一緒にミキサーに1分ほどかける②ボウルなどに汁を移し、そのなかに布を浸して10分ほど置く③汁から布を取り出して水洗いし、乾かす▶出来上がりは水色になる玉ねぎの皮赤シソの葉紅花の花びら藍の生染めイラストはすべて遠藤さんによるもの。背景は遠藤さんにいただいた藍染めの胴裏遠藤静江さん(えんどう・しずえ)1932年11月23日生まれ。都留市在住。元小学校教員。現在は着物のリフォーム、染め物、油絵、都留詩友会での活動など、さまざまな取り組みをなさっている。写真は、ご自身で育てた藍に囲まれて(2011.10.10)43※材料・水の量は、静江さんの感覚で毎回決めているそうで す。それによって色の濃淡も変わってきます。挑戦してみ ようというかたは、その変化もぜひ楽しんでください

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