FN77号
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9尾根を歩く。頂上ではどんな景色が見えるのだろうか右:地形図に現在地点を記していく左上:ヒトリシズカ。花穂がひとつだけつくことから名づけられたことを教えてもらった。ほんものを見ながら草花の名前を知っていくのも楽しみのひとつだ 左下:リスが食べたと思われるクルミの食痕。高川山にもリスが暮らしているようだ低いところに、沢があるのを見つけた。地形図でも等高線が標高の低いところから高いほうへ向かってへこんでいる場所が続いているのを確認できたので、谷間のきわを歩いているのがわかる。谷間には沢が流れているところと、枯れているところとがあった。それでも沢の筋は山の奥まで続いている。しばらく沢沿いを歩いていった。地形図を読みとる 地形図に記されていた林道が終わり、ゴツゴツした石や大木の隙間を人が踏み固めてできた道になった。地形図の等高線の間隔も狭くなっている。ここからは急な傾斜が続くようだ。気合いを入れて登っていく。 土が乾いていたのと傾斜が急なのとで足下は滑りやすく、一歩ずつを注意して歩かなければ危険だ。だからといって足下ばかり見ていると、何度か歩いている道から外れて違う方向へ行きそうになった。足下に気をつけながら、進行方向を見て歩くのはなかなか難しい。 舗装されていた道を歩いているときよりも、山の自然が近くにあった。倒木に咲いた満開の花からは強い生命力が感じられた。また、リスが食べたと思われる食痕を見つけたり、一緒に歩いていた砂田さんがリスを目撃したり。しばらく立ち止まって生きものが近くにいないかと、みんなで木々や草花をじっと観察したときもあった。山のなかの自然と向き合う機会があまりなかったので、木々の変化や生きものがいた跡を見ることが新鮮で、それらを探すこともひとつの楽しみになっていた。次は何に出会えるだろう、と期待しながら進んでいく。 登り続けると、尾根を歩く道に変わった。等高線が谷間とは逆に、高いところから低いほうへ向かって出っ張っている場所が続く。尾根の道では木々の間からまち並みの一部や、今まで見えていなかったほかの山の姿も見えるようになってきた。山頂まであと少しだ。休憩をこまめに挟みながらさらに急になった斜面を、一歩一歩力をこめて登る。ついに山頂へ 12時7分。ついに山頂へ到着。無事に登りきった喜びと広々とした空間に出られた開放感でいっぱいになった。このとき食べたおにぎりは格別においしく、疲れきった体を癒してくれた。 山頂からは高川山の麓のまち並みやまわりの山々がぐるりと一望できた。出発する前に地形図で都留のまち並みを見たときには、山間に民家が多くあるなあ、とまち並みをぼんやりと想像するだけだった。じっ地図

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