FN78号
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13左が周囲を林に囲まれている石船神社。右の奥に見える白い建物が旭小学校ムササビの標本と私を比較してみた加藤萌香(初等教育学科1年)=文・写真私が初めて出会ったムササビは本学自然科学棟にある標本だった。リスやモモンガに比べれば大きいことは知っていたがじっさいに見るとその座布団ぐらいある大きさに、驚きを隠せなかった。私は標本となったムササビに興味がわき、製作者である小口尚良さんにお話を伺うことにした。 小口さんによると、標本になったムササビは都留市朝日馬場の、石船神社境内のシラカシの木に設置されている餌台のそばで死んでいたという。それを近くの旭小学校の職員が発見し、当時旭小学校に勤務していた小口さんが標本にしたのだそう。 死体が手に入ることはまれで、標本にしておけば長年に渡って活用できる。ムササビの一番の特徴である飛膜を広げた姿の標本は当時本学になかったので、子どもたちに本物を見たり、触ったりしてもらおうと、ていねいに2時間ほどかけて製作したとおっしゃっていた。私も標本に触れてみたがムササビはとても愛くるしい顔つきをしていて、想像以上にふわふわとしている。この発見は間近で見られる標本だからこそわかったことだ。 標本を見ているとムササビが本当にこんな姿で滑空していくのか自分の目で確かめたくなる。私はムササビを見ることができる東桂の今宮神社を訪れた。静かな林でじっと、ムササビを待つ。木々の揺れる音のなか、一点を見続けていると時間がとまっているような不思議な感覚がした。ずっと見上げ続けるのは首が痛かったけれど、滑空するムササビの姿をどうしても見たくて見上げるのをやめなかった。そのとき、御神木からてっぺんのほうにささっと登っていったムササビが木々の間あいだを滑るように飛んでいった。ほんの一瞬のできごとだったが確かに標本と同じ姿で滑空していた。 入学前からずっと会ってみたかったムササビ。今回、標本と生きている姿の両方を通して、ぐっとムササビとの距離が縮まった気がした。147㎝78.3㎝石船神社に住むムササビのために設置された餌台。周辺の地面には食痕のあるドングリが落ちていた(上)ムササビの標本(下)標本ラベル一部抜粋ムササビ(♂)2003年10月31日 石船神社体重1000g 全長74.1㎝(毛もいれて78.3㎝)頭胴長35.5㎝ 前足6.5(爪含7.0)㎝ 後足6.5(爪含7.0)㎝ 耳3.5(毛含5.0)㎝胃の内容物:葉っぱ -作成、計測:小口ふたつの本物に近づく

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