FN78号
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no. 78 Aug. 201314神輿を通した繋がり2004年の例祭 祝詞が終わり、待機中の神輿都留市上谷の金かねやまじんじゃ山神社には市の指定文化財にされている神輿がある。慶応2年(1866年)に製作され、四隅には狛犬、正面に鶴、中欄に虎、扉の両側に孔雀、下欄に亀が彫刻されている。この神輿は毎年8月7日前後におこなわれている例れいさい祭で「どっこいどっこい」の合いの手とともに地域の男性たちによって担がれ、町を巡る。 そんな神輿に興味をもった私は、金山神社の神主さんである、金かねこ子寿ひさもと元さん(54)にお話を伺った。寿元さんと奥さんの富ふじこ士子さん(54)は私の質問に対し、ていねいに答えてくださった。 神輿について「金山神社の神輿にはどんな役割があるんですか」と伺ったところ、寿元さんは身ぶり手ぶりを加えて、「例えるなら、ろうそくの火。大きなろうそくが神様。神輿に、その大きな火から小さなろうそくの火を分けていただく。小さなろうそくの火を乗せ、自分の地域を巡り、町の安全を守る。神様のほうからきてくださるので、神様のところへ行けない人は巡ってこられた神輿に拝む」と答えてくださった。 神輿は、町を巡ることで、神様のもとへ行けない人も、ほかのみんなと同じようにお祈りができるようにするという役割をもっているのだ。全く予想もしていなかった神輿の役割は、寿元さんがしてくださったお話のなかで、いちばん印象的だった。 神様にお祈りしたい人がみんなと一緒にお祈りできるよう、担ぎ手が夏の暑いなか、重たい神輿を担いで運ぶ。それを待つ人々は、運んでくれた担ぎ手たちに感謝をする。私は、寿元さんがおっしゃった神輿の役割から、この繋がりを連想した。神輿は神様のほかにも人々の思いを乗せて町を巡っている。 今年の8月4日の例祭で神輿が町を巡っているのをはじめて見た。神輿の役割を知らない今までの私だったら、神輿が町を巡るのを見て「楽しい」と思っても「ありがとう」と思うことはなかっただろう。しかし、金山神社の神輿の役割を知ることができた私は、担ぎ手たちに「ありがとう」と思うことができた。そこにきっと、担ぎ手と私の繋がりもできたはずだ。 (高尾芳久氏=写真提供)参考文献『都留市社記』都留市教育委員会、1979年川田陽香(社会学科1年)=文
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