FN78号
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25さが一段落ついた時間帯のようで、お客さんは私たちだけだ。まだ営業時間内ではあったけれど、お店を経営されている椙すぎもと本伸しんいちろう一郎さん(61)と奥さんにお話を聞かせてもらう。ひとつ聞くたびに、どちらかが答えてはもう一人がいやいや違うと遮る。お互いに言い合いながらわいわいと話す姿が微笑ましい。 お店は、ご夫婦と息子さんたちで営んでいる。店内の座敷は、以前ご夫婦でやっていた水晶研磨の仕事の休憩所だった。その仕事をやめて開いたのがこのうどん屋なのだそう。今年で営業11年目を迎える。もともと椙本さんたちが使っていた空間だからなのか、お店というよりは親戚の家に来たかのような印象を受けた。使っていた匂いが染み付いていて、お店だからと気張らずにいる雰囲気が、心地良い。 山のなかでそっと営んでいて、隠れ家のようなところですねと言うと、そうでもないのよと奥さんが可笑しそうに笑う。ぱらぱらと少人数のお客さんが代わるがわる来るのかと思いきや、たくさんの人たちが固まった時間帯にどっと来るのだそう。というのも、お客
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