FN78号
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27も、七色に輝くホタルのサナギの写真がひときわ目を引く。滅多に撮れないもので、知り合いの人がわざわざ専門家に頼んで撮影してもらった。それをいただいたのだそう。そんなものまで飾ってあるのかとしげしげと眺める。二本足で立ち上がっているリスの写真には、『私って可愛いでしょ!!』という題名が付いている。奥さんと顔を見合わせ、思わず一緒に笑う。写真を撮った人が、ぜひこの題名にして欲しいと言って付けたものだという。ほかの作品についても一つひとつお二人がていねいに、その時を振り返りつつ、慈しむような目で説明してくださった。波長と集まるもの 人から聞いた話なんだけどねと前置きして、奥さんがお話してくださった。「ホタルは、オスが自分と波長が合うメスを探して飛び交うんだって。で、止まってるのがメスで。それで、自分と波長が合わないと通り過ぎていくけれど、どんどん探して飛ぶので、それで舞ってるんだって、オスが。メスはじーっとして光を放ちながら(待っている)」「人間も変な話そうだよね」と続けるのを聞いて、なるほどなと思う。ホタルは波長が合う相手を探す。人も自分の心地が良いところに自然と集まる。お客さんが固まった時間に来るというのも、一つの時季にだけ舞うホタルのようだ。「ほたる」というお店に魅かれ、吸い寄せられるようにしてここに集まった。そんな人たちがいることを表すのがこの絵や写真なのだろう。 私も「ほたる」に魅かれたひとりだ。なぜ魅かれたのかというと、理由は一つではないような気がする。お店や営む人たちの雰囲気が、暗闇に優しく浮かび上がる姿が、私を魅きつけた。「ほたる」という存在自体に魅きつけられたとも言えるかもしれない。だとすると、これだけたくさんの写真が並ぶなんて、もしも「ほたる」が本物のホタルだったとしたらさぞや人気なんだろうなあと考える。だからこそ、これだけの数の額縁が店内に並ぶことに心の底から納得するのだ。「手打ちうどん ほたる」の外観。周りには街灯などもなく、夜になると闇のなかでお店が浮かび上がる橋の上から見た高川。伸一郎さんいわく、ホタルは音に反応するそう。手を叩くと4、5匹が一斉に発光した「手打ちうどん ほたる」 定休日 不定休 営業時間 午前11時〜午後3時 ホタルの舞う時期には予約が入れば夜も営業する。
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