FN78号
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33つるりんの生きものたち①ヘクソカズラの花 ②マイマイガの幼虫 ③ルリボシカミキリ ④ミミズ ⑤アケビの実 ⑥キマワリ ⑦オニドコロの花(①~⑥は2013年7月14日、⑦は2013年7月9日撮影)①④⑤②③⑥⑦経験的に知っていた。小学生のころ、大きなスズカケノキの樹洞に隠れているカミキリムシを捕まえて遊んでいた。そんなことを思い出しながら樹洞のなかを覗く。オオモミジにできた樹洞には親指ほどの太さのある大きなマイマイガの幼虫が3匹隠れていた。(写真②)樹洞の底にはたくさんのフンが溜まっていて、どうやら樹洞の空間を利用しているのは間違いなさそうだ。新しい発見 見つけた生きものの数はそれからしばらく増えなくなった。夏は春よりもたくさんの生きものとの出会いを期待していたのに。先に挙げたマイマイガの幼虫、シデムシ以外に新しい出会いがない。もう一ヶ月近くこんな調子だった。 今まで一人でつるりんに行くことが多かったが、7月に入って何度か他の人と行くことがあった。お互いに見つけたものを話しながら歩くといつもより多くの生きものを見つけることができた。単純に2人に増えたから2倍になったのではない。実感では3倍にも4倍にもなった。人によって見ているもの、気になることが違っていておもしろい。つるりんでずっと見てみたいと思っていたルリボシカミキリ(写真③)も一緒にいた友人が見つけたものだ。立ち枯れの木の幹にいた。 公園や街路樹では撤去されてしまう倒木や樹洞。人が必要としないものが生きものにとってどういうものか考える。多様な生きものを支える存在としてみると雑然とした倒木や枝葉の一つひとつが林のなかできちんと意味をもっていた。 場所を変える。ほかの人と行ってみる。そんな簡単なことで夏のつるりんの楽しみはぐっと広がった。私たちが黒板へ向かう教室と壁を隔てただけの場所。そこで生きもののくらしを垣間見ることが今は何よりもおもしろい。

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