FN78号
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 あのね、私は小学校でもこういうことを教えてきた。自分で歩ける人は保健室に行って、自分でどこが痛いかきちんと言えるようにしよう。頭が痛い、お腹が痛いって保健の先生に、自分の口から言えるようにしようって。そういう教えかたしてきたよ。だから、こんな1人が具合が悪いとき、7人も行って、10分と思うけれど70分損してる。1人分じゃないんだよ。こんなもったいないことないでしょって言ったら、やっぱり行った子っちが「遠藤先生は小学校の先生だから知らないんだよ。中学校ってみんなそうしてるんだよ」っちゅうから、ああそう、じゃあね、校長先生と学年主任の先生に私が申し入れます。改革しましょう。そういう悪い風習はやめるように、校長先生にまず交渉します私が。そしたら、わいわい騒いでさ。困っちゃって、そして大騒ぎってわけ。 生徒指導の先生にそのこと言ったの。そしたら、「みんな教室に集まれ。遠藤先生とみんなの言い分をここで言え」って言うの。そしてそこでお互いに言った。 そしたらさ、どう考えても勝ち目がないじゃん。生徒が。で、勝ち目がないとこへ持ってきて、その生徒指導の先生が「おまえたちは入学してきたときは、すごい良い顔してたのに、見ろ。だんだんそういうふうになってから、みんなブスになっちゃった」と言ったの。女の子ってブスって言われるとすごく嫌で、みんなめそめそ泣き出したりね、わいわい言いだしたの。わかるところまで向き合う まあ一応、「おまえたちが悪いんだから、きちんと授業を受けよう」っていうことになったの。そしたら(生徒たちが)教室から出ながらさ、「遠藤先生ってすごい本気で怒るね。私たちそんなに本気で怒ると思わなかった」って言うの。だから中学の先生が本気で怒らないのよ。 ほかにも、家庭科の時間、「先生、(自分の)家へ行っていいですか、近いから」って言うの。どうしたのって聞いたら、「靴下に穴があいた」って言うの。え? 靴下に穴があいてそっから何か起こるのって。 受け持ちの先生(若い男の先生)が「遠藤先生がいいって言ったら行っていい」って言ったの。何言ってんのって。靴下に穴があいて、家へ履きに行く? って。なんでって(聞いたら)、「(靴下に穴があいて)みっともないから」。先生いっぱい靴下余分に持ってるから、それ貸してやるから。 若い男の先生に言ったの。先生、靴下に穴があいたから履きに行かせるなんてどういうことなのと言うと、男の若い先生も女の子が恥ずかしいなんて言やあさ、途端に困っちゃって、いいよなんて言っちゃうのよね。 だからほんとに本気で向き合ったらわかるんだけど、わかるとこまで向き合わないで、中途半端ね。ただ締めるんじゃなくて、優しいときは優しく、きちんとしなきゃなんないときは、きちんとってことは、中学生になればわかるの。それをいい加減にしといちゃいけない。ちゃんとわかるのよ。中学校に勤務していたころの遠藤さん(当時57歳)39

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