FN79号
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no. 79 Dec. 201314(舟田早帆)国指定の天然記念物で、準絶滅危惧種でもあるヤマネ。多くの人が名前は聞いたことがあっても、あまり知らないヤマネの生態や魅力が紹介されています。著者はヤマネミュージアムの館長を勤めていらっしゃる湊秋作さん。彼がおこなったヤマネ観察やそれを通して得た発見など、長年のヤマネ研究の記録が書かれています。文中に書かれた湊さん自身のエピソードからも、彼のヤマネへの情熱がうかがえました。 また、本書にはヤマネの写真がたくさん載っています。そのヤマネたちの可愛いこと! まるっとしたフワフワの体に、大きな黒い目。うろから顔を出しているヤマネの写真を見ると、思わず口元が緩みます。ヤマネのことが好きになる一冊です。『ヤマネって知ってる? ヤマネおもしろ観察記』湊秋作著 築地書館 2000年(牛丸景太)「汝なんじが耳に人語が解らば我が言うところをよく聞くべし」──かつて、キツネに向かってそんなふうに懇ろに話しかけていた時代があったことを、130年ほど前の新聞が伝えています。著者の林丈二さんは20年以上国立国会図書館にかよって明治時代の新聞を読み、気になる記事や挿絵などの情報を丹念に収集し続けました。本書は、その膨大なデータのなかから動物(全29項目)の記事についてまとめた「中間発表」。クスッと笑えるエピソードから、現代ではありえないゾッとするような出来事まで、記事は多岐にわたります。 明治の東京を舞台に繰り広げられる、人と動物の喜怒哀楽の日常には、生きものたちと背中合わせで暮らしていくうえでのヒントがそこかしこに隠れています。『東京を騒がせた動物たち』林丈二著 大和書房 2004年(加藤萌香)今泉吉晴先生がじっさいに山小屋で過ごした日々を綴ったエッセイ。先生の生活はあまりにも魅力的で、羨ましくなりました。自らの経験から学び、身につけた自然との関わりかたは生きものたちにとても優しいものです。こんなにも野生の生きものと仲良くなれるんだ! と驚きました。先生が出会った生きものはイタチやコウモリ、カヤネズミ……と盛りだくさん。とくに2匹のムササビとの生活のなかで動物の欲求を理解し、応えていく姿に憧れます。先生がいつも大事にしていたのは生きものたちの気持ちを考えること。 読み終わったとき、思わず私も山小屋を建てようかと真剣に悩みました。写真を多く使ったエッセイなので、生きものに癒されながら、とても楽しく読めます。『わたしの山小屋日記 夏』今泉吉晴著 論創社 2012年う誘へ外一冊野

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