FN79号
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32no. 79 Dec. 2013「つくる」をみつめる ̶第5篇̶相手のことを考えて「つくる」。つくられたものを通して、つくり手がこめた思いがみえてきた。前澤志依(国文学科4年)=文・写真「和服リフォーム」した服を紹介してくださる金勝さん。ハキハキとしゃべり、笑顔がたえないかただ 昨年6月3日、都留市谷村にあるミュージアム都留で開かれた「第9回 和服リフォーム ファッションショー」を見に行った。参加されたモデルさんのなかに、お揃いの服を着て花道を歩く親子の姿があった。お子さんの祖母にあたるかたが服をつくられたという。つくってもらった服を着ながら、とても嬉しそうな表情で堂々と歩く親子の姿が今でも私の記憶に残っている。あのときの服をつくったかたは、どんなことを考えてつくったのだろう。渡したい相手のためにつくることには、どういう思いがこめられているのだろう。今年10月21日、その親子の服をつくられた金かねかつ勝紀のりえ恵さん(74)にお話をうかがった。 都留市下谷にある金勝さんのご自宅を訪ねる。玄関を入ってすぐ左の部屋が金勝さんの作業場だ。8畳くらいの部屋には、壁側にぎっしりと服や編み物が置いてあった。これらは金勝さんがつくられたものだ。 小学生になる前から洋裁に興味があった金勝さん。高校を卒業された後、本格的に洋裁の勉強をして講師も勤められた。ご結婚されたのを機に講師を辞められたが、「もってい

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