80(単ぺージ)
12/48

no. 80 Mar. 201412 人によっても違うでしょうが、睡眠を除く人間の活動時間は1日16〜18時間くらいだと思います。この時間にやることは、学校に行ったり、仕事をしたり、食事をするなどが多くの人に共通することでしょう。つまり、人間の1日は24時間で、それに合わせて生活を組み立てています。しかし、野生動物のなかには、人間の活動周期とはちょっと異なるものがいます。たとえば、地下で生活をしているモグラ。アズマモグラは4時間活動して、4時間休息すると言われています。人間もモグラも同じ哺乳類ですが、住んでいる環境が違っているためか、このような差異が生じています。 寿命はどうでしょうか。一般的にはサイズが大きいほど、長く生きることが知られています。たとえば植物では、1年で枯れてしまう一年草と数百年も生きる樹木では、大きさと寿命の関係は一目瞭然です。いっぽう昆虫では、カブトムシの成虫の寿命は数ヶ月ですが、オオクワガタは数年です。この両種は同じような大きさですが、寿命はかなり違っています。 四季の訪れの感じかたもいろいろあります。現代の人間はカレンダーから知ることがほとんどだと思いますが、チョウのなかには、ある温度よりも高い日が何日間あると、孵ふか化したり、羽化したりするものがいます。渡り鳥の場合は、日照時間の変化によって、渡る時期を知るようです。 私たちは、自分のもっている時間感覚(24時間や1年)からさまざまなものを長い、短いと考えます。自分と他者の違いを推し量るときは、何か基準が必要になるかもしれませんが、その違いがなぜ生まれるのかを想像するのは楽しいものです。     (西 教生)上:日本には冬鳥として渡来するジョウビタキ。3月中旬から4月にかけて、繁殖地であるロシアを目指して日本を旅立つ左:モンシロチョウ。モンシロチョウの幼虫は、休きゅうみんさなぎ眠蛹になるか、休眠をせずにすぐ羽化をする蛹になるかは、温度で決まるという生きものそれぞれの時間コラム

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る