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35カイツブリ。潜水をして食物を取りますカルガモ。水面で食物を取ることがほとんどですが、まれに数メートル潜水して川底の植物を食べることもありますすが、北海道には生息していません。どこにどんな生きものがいるのか、それを自身の目で確認していくとき、やはりメモは欠かせません。いなくなったカイツブリ 山や水辺を散策し、そこで観察した生きものをメモすることのほかに、ある場所では定期的に特定の生きものを記録しています。私は2005年の8月からほぼ毎月、都留市川茂で水鳥の種類と数を記録しているのですが、最近こんなことがありました。川茂では一年中生息しているカイツブリが、2013年12月から見られなくなったのです。気になって過去の記録を見ると、2013年6月まではほとんど毎月観察されています。いまのところ、カイツブリがどうしていなくなったのかはわかりません。春から、また以前のように見られるようになるかもしれませんが、いったいどうしたのでしょうか。水鳥の生息している環境に何か変化があったのでしょうか。 そこで、カイツブリ以外の水鳥はというと、同じように一年中生息しているカルガモには、大きな数の変化はありませんでした。ほかの水鳥の記録にも目を通すと、2007年12月からヒドリガモが少なくなっています。もともと、数の多い鳥ではありませんでしたが、最近ではほとんど見られません。いっぽう、2009年1月からオオバンが出現するようになり、それ以降は毎年秋から春にかけて観察されています。2009年9月からはオナガガモが観察されるようになりました。疑問に答える記録 ある場所で水鳥の種類と数を書き留めておくだけで、今年は「多い」とか「少ない」とか、「例年並み」などということがわかってきます。簡単な記録でもそれを積み重ねていくと、のちに思いつく疑問に答えられるかもしれません。後で振り返って調べることができるように、いろいろな記録を残す必要があります。 ところで、積雪の量や気温は水鳥の数に影響を与えると考えられています。積雪が多かったり、気温が低くて水が凍ったりすると、食物を取れなくなるからです。このような気象条件のとき、彼らはどんな行動をとるのでしょうか。その行動を捉えるためにも、また、地球規模での気候変動が身近な生きものの振る舞いにどのように関係するのかを明らかにするためにも、日常の記録が大切になります。

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