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no. 80 Mar. 201438no. 80 Mar. 2014冬とうが芽は、葉の落ち出す秋からでき、冬を越え春になると花や葉へと生長する木の芽のこと。冬芽は、それぞれの木ごとにいろいろな姿を見せてくれる。そんな冬芽を探しに、都留を歩いた。冬芽と待つ春今まで、冬芽という存在を知ってはいても、注意して観察したことがなかった。けれど、ある日何気なしに大学に植えられているヤエザクラとシダレザクラの冬芽を見比べて驚いた。一見すると同じような色形なのに、シダレザクラの冬芽には毛が生えていたのだ。じっくり見てみると、似たようなものだと思っていたものにも違いがある。そう気づくとほかの木々の冬芽もどんな姿をしているのか気になり、探してみることにした。再発見と新発見 冬芽を気にして歩くと、なぜ今まで気づかなかったのかと思うくらい、いろいろな冬芽が目に留まるようになった。魚の鱗うろこのような芽がりん鱗と呼ばれる外皮に覆われた姿や、芽の表面に毛が生えている姿など、どれも個性的だ。なかでも、私が驚いたのはアジサイとフサザクラだ。 アジサイは自分の家の近くにも植えられていて、見慣れたものだった。けれど、冬芽の姿はどんなふうだろう、となると答えられない。冬芽があるものなのかどうかさえはっきりとは思い出せなかった。そこで、あらためてアジサイを見てみると、ちゃんと冬芽があった。枝先の冬芽(頂芽)は芽鱗をもたない裸らが芽で、何枚もの葉の芽が重なって小さな白菜のような形だ。でも枝の横の冬芽(側芽)には薄い芽鱗がある。一本の枝のなかでも違う姿の冬芽があることに驚いた。ふだん見慣れている木の新たな一面に、私は自分が「見ているつもり」になっていただけだったと気づいた。 いっぽう、冬芽から木を知ったのがフサザクラだ。都留市上谷の桂川沿いにあった木で、1㎝ほどのまるまるとした卵形の冬芽を見たとき、私は思わず「タコだ」と口にだしてしまった。その冬芽の下には放射状に、細い枝のようなものがくっついていて、まるで足を広げたタコのように見えたのだ。今までそんな姿の冬芽は見たことがなく、木の名前もわからなかった。手がかりはタコのような姿の冬芽。さっそく図鑑で似た冬芽を探した。けれど、なかなかこれといったものが見つからない。姿が似ているものを見つけても、それがほんとうにその冬芽のものか確信がもてなかった。何度もその木へ通い、芽鱗の枚数を数えたり、冬芽の生えかたを調べたりした。金原由佳(社会学科1年)=文・写真

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