80(単ぺージ)
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7お店に入ると女性が二人、「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれた。何を買おうか迷っていると、作業をしていた女性が「わからない商品があったら気軽に聞いてくださいね」と優しく話しかけてくれる。都留に来たばかりで心細かったわたしの気持ちが少し安らいだ。 そのかたにオススメを聞いて、生ハムのベーグルサンドを注文すると、その場で作ってくれた。それを買って家に帰り、ワクワクしながらわたしはベーグルサンドにかぶりついた。パンはもちっとして噛みごたえがある。噛んでいると口のなかに小麦の甘さがじんわりと広がり、飲み込んだあとも甘さが喉のあたりに残る。食べ終わると満ち足りた気持ちになった。美味しかった、また食べたい。またこのお店に行きたい。そう思って以来、わたしは何度も、店員さんに顔を覚えられるくらいお店に通った。 何度も行ったお店だけど、わたしの知らない時間に「Baleine」ではどんなことが起こっているのだろう。お話を聞いてみたくなった。 1月24日、12時30分ごろに「Baleine」を訪れる。入り口の扉には「CLOSED」の札がかけられている。入ってもいいのか、わたしが窓越しにようすをうかがっていると、お店の奥から女性が現れ「ごめんねぇ」と言いながら、扉を開けてくれた。紺色の帽子がトレードマークのこのかたは武たけいまさこ井雅子さん(42)。「Baleine」の店主で、お店で売られるパンは武井さんが作っている。はじめてお店に入ったとき、ベーグルサンドを作ってくれたのも武井さんだ。 閉店後のお店は商品が並んでいないからか、営業時の明るい雰囲気とは違い、少し寂しい印象を受けた。お店に入って右手にある作業台を挟んでお話させていただくことになった。ゆったりと過ごせるお店 今はパン屋として営業している「Baleine」だが、以前は武井さんがご夫婦で経営していたレストランだったそうだ。「もう(レストランを)やめてから5年くらい経っちゃうのかな」と武井さんが懐かしむように話してくれる。当時、雅子さんはパンとデザートを作る担当をされていた。定休日にはパン教室を開いたり、パンの予約販売や配達をおこなった左:パン同様「スコーン」も天然酵母で作られている右:お話を聞かせていただいた作業台。店内の模様替えをしたため、今はパンを置くために使われている都留時間

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