学報136号
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講演会だより 初等教育学科では今年度より特別支援学校教職課程がスタートし、特別支援教育に係る専門科目が多数開設され多くの学生が熱心に履修しています。障害児への教育は「特別支援教育」として制度転換し、拡充が図られて10年が経過しました。特別支援教育は特別支援学校のみならず、通常の学校に在籍する特別なニーズをもつ子どもたちの教育をも充実させるという使命を担っています。 なかでも新しい障害概念として登場した「発達障害」への理解や支援の在り方は喫緊の課題となっています。そこで発達障害研究の第一人者であり、山梨県立こころの発達総合支援センター初代所長でもある本田秀夫先生に「発達障害と学校教育」と題してご講演いただきました。 本田先生は本県における発達障害支援の先駆者として、診療や療育システムの開発等を牽引され大きな功績を残された方です。そして多くの患者さんを、幼児期から青年期、成人期まで長期に亘って診療されており、豊かな臨床経験に基づいた貴重な研究成果を著書や講演など様々な場で発表されています。こうした知見から本田先生のお話には、いつも「人が育つことへの温かい信頼」が感じられます。 講演会はこうした本田先生のお話を聴きたいと、県内外から229名もの参加者があり、会場は満員御礼となりました。本学の学生、小、中、高等学校の教師、子育てに心配をお持ちの保護者の方、地域福祉に関わる専門職の方など様々な方が参加して下さいました。 講演では、「目に見えない異常」に気づく大切さ、育児のコツ、本人の主体性を大切にした「合意」、わが国の学校教育の課題、健康でハッピーな生き方とは、など示唆に富んだ分かりやすいお話をして下さり、聞き入っているうちに90分があっという間に過ぎてしまいました。参加者は其々の心に新しい気づきをもたらされたようで、たくさんの感想が寄せられ、発達障害等の支援に係る課題が確認されました。 また、講演の前には特別支援学校教職課程の学生たちが、地域と共に取り組んでいる発達障害児のキャリア教育プログラム「キャリアデザインワーク」の報告を行いました。これは、発達障害のある中学生、高校生と特別支援教育を学ぶ大学生が「はたらくとはどんなことだろう」と考えあい、地域の事業所で職場体験をさせてもらうワークショップです。まだまだ模索中ではありますが、報告を聞いた方からこれに参加したいという声もいただきました。改めて、今後も地域と共に歩みを進めていきたいと考えております。 参加者の皆様と共に有意義な時間が過ごせましたことを心から感謝申し上げます。(初等教育学科 特別支援学校教職課程担当 原 まゆみ)都留文科大学 初等教育学科・地域交流研究センター主催『発達障害と学校教育』 ~発達障害児のライフステージを踏まえた支援の在り方、学校教育の役割を考える~開 催:平成29年12月16日(土)講演者:本田秀夫 氏講師紹介本田秀夫(ほんだ ひでお)所属:信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部 部長/診療教授 専門領域/発達精神医学・児童青年精神医学経歴:1988年3月 東京大学医学部医学科卒業 1988年6月 東京大学医学部附属病院精神神経科 1990年6月 国立精神・神経センター武蔵病院精神科 1991年9月 横浜市総合リハビリテーションセンター発達神経科 2009年4月 横浜市総合リハビリテーションセンター 発達支援担当部長兼 横浜市西部地域療育センター長 2011年4月 山梨県立こころの発達総合支援センター所長 2014年4月より現職所属学会等:医学博士、精神保健指定医、日本児童青年精神医学会代議員、日本発達障害学会評議委員、日本自閉症スペクトラム学会評議員、日本自閉症協会理事、全国情緒障害教育研究会顧問、JDDネットワークながの理事、特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事33都留文科大学報 第136号2018年2月28日(水)
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