学報136号
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講演会だより 英文学科後期講演会では、プロジェクトマネジメントのスペシャリストである音羽真東さんをお迎えし、「教育」をテーマに参加者全員で議論を重ねました。 最初に与えられた問いは、「そもそも『考える』とは何をすることか?」考えたことがありそうで、改めて答えるのには詰まってしまうような問いでしたが、頭を悩ませながらも全員がそれぞれ付箋に一行で自分の思う答えを書き、発表していきました。様々な意見が飛び交いましたが、大事なことは、正解がないということ。そして自分の言葉で説明することが大切だということだと音羽さんがおっしゃってくださいました。そしてその後は今回のメインテーマである、「今のカリキュラム or コミュニティースクール」について考えていきました。議論をするにあたって音羽さんから与えられたルールは三つ。●発言は、積極的に。主訴を30秒にまとめる。・自分のために:伝えることで、自分の理解が深まります。・周りのために:新しい観点に、気づくきっかけになります。●個人批判と受け取らない。意見批判とは別。・個人攻撃・ヘイトスピーチ・ネガティブキャンペーンは×。・ディベート(論破・勝ち負け)が目的ではなく、合意が目的。●多数決をしない。“未合意“を合意する。・多数決は少数派の排除につながり、必ず対立を生む。・合意した論点を延々と続けない、未合意点に注目して質問! 以上の点に注意して、相手を打ち負かす〈競争〉をするのではなく、合意形成を目指す〈共創〉を目標に議論を行っていきました。まずはそれぞれ今の教育カリキュラムがいいと考えるか、それともコミュニティスクールなどの既存の教育カリキュラム以外がいいと考えるのか、二つの立場に分かれて座り、なぜそちらがいいと考えるのかを発表。その間「問い」を考え続け、相手側へ立場に対する質問があれば随時投げかけていきました。議論はどんどん盛り上がり、最初のメインテーマである「今のカリキュラム or コミュニティースクール」という問いから「担任の先生は必要か?」「国数英理社の5科目である必要はあるのか?」などへと広がっていきました。そして最後の問いは「何のために学ぶのか?」音羽さんからは、目的を定めた上で学びをするための手段を考え、その手段を選択できれば、力強い学びができるのではないだろうかという言葉をいただきました。 私たち英文学会が年2回運営している講演会はこれまで講義型のものがほとんどでしたが、普段とは異なる議論型の講演会の楽しさも体感でき、あっという間の90分となりました。普段の学生生活ではこのように誰かと問いを交わしたり、議論をすることはなかなかありません。しかし異なった意見を持った人と合意形成を目指す方法を知っていることは、これから社会へ出て行く私たちにとって特に大切なのではないかと強く実感しました。また今回の議論や最後にいただいた音羽さんの言葉を通し、今の教育カリキュラムにも、それ以外の新しいカリキュラムにも、どちらにもメリット・デメリットがあり、そのどれもが学びをするための「手段」であるということを再確認しました。これを踏まえ、今後は学ぶ目的によってその手段を選択するという視点で考えてみたいと思います。(英文学科2年 高橋楽々)開催:平成30年1月17日(水)   講演者:音羽真東 氏講師紹介音羽真東(おとわ まさと) 株式会社マネジメント代表取締役。大手外資系IT日本法人やシンクタンク・金融合併システムで1,200人規模の統合プロジェクトマネージャーとして活躍。一方で,参加型のワークショップ・セミナー活動を開始。併せて大手金融・流通会社やWeb関連企業のIT化や業務改善プロジェクトを並行支援。プロジェクトマネジメント知識や経験を活かし、マネジメント理論を研究・知識体系化、会社設立に至る。さらなるマネジメント理論を研究し続けながら、マネジメントサポートを行っている。【教育のどっち?】今の教育カリキュラム or コミュニティースクールThink2050 あなたはどっち? テーマを設けてみんなでギロン!35都留文科大学報 第136号2018年2月28日(水)

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