学報136号
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文だ大より 私は、平成29年4月から8月の期間、アメリカのメリーランド州シルバースプリングにある難民再定住支援団体HIAS(ハイアス)で5ヶ月間インターンをしました。長期に渡ってのインターンシップが可能となった遊学奨励金の支援に対し、この場をお借りして、選考に携わっていただいた多くの皆さまに感謝の意をお伝えします。 インターン生が関わる3つのプログラムは基本的に全て、国務省からの資金を元に経済的援助を通して難民支援する形になっています。1つのプログラムでは、アメリカに来るHIASの受け持つ難民全員が受給対象となり、一定額から難民の生活必需品を揃え、家賃を支払うなどの金銭面でのサポート、さらに社会保障番号の登録援助等、新たな生活を始める上で必要不可欠な手続きのサポートを行います。別のプログラムでは、新たな試みとして一般市民と難民とのマッチングプロジェクト(メンターシッププログラム)を企画し、その草案作成に携わりました。HIASインターンシップでのハイライトとして、Allocation Meeting(割り当て会議)への参加があります。この会議は、毎週国務省から送付される、移住予定難民に関わる報告書をもとに、各個人や家族のケース、健康状態、国籍、民族背景等の書類上の情報と、その難民の話す言語を話せるスタッフがいるかどうかなどの「支援側の状況」も踏まえた上、決められた人数を割り当てていく(再定住先を決定する)というものです。この会議に参加し、実際の交渉の状況を目の当たりに出来たのは貴重な経験となりました。 私の母親がフィリピン人ということもあり、 幼少から移民・難民については常に関心がありました。現在のトランプ政権下だからこそ尚更、アメリカの難民系団体でインターンを経験したいとの思いがあり、予てからの希望が叶ったのは非常に嬉しくかけがえのないものになりました。HIASはかつて世界大戦前後で生まれたユダヤ難民をサポートするために135年前ニューヨークに設立された歴史の長い団体です。しかし、近年の人道危機に応えるために、ユダヤ系の人々以外にも支援を開始しました。つい2週間前にも新たなパートナー団体として、イスラム系の団体と協定を結ぶことになりました。 かつて迫害されていた立場だったからこそ、”My people were refugees too”という意識のもと、違った背景を持った人でも、そんな彼らに同情し共感し、同じように接することができます。国を越えた人の移動は進み、価値観や考えの衝突は常に起こり続けます。それでも、同じ人間として、同胞として、これからも人道支援の舞台で、私なりに出来る事に全力で取り組んで行きたいと考えています。 Prepared by Ryosuke Nakazawa, HIAS US Programs Summer Intern 2017 CareerPathwaysMentorshipProject (CPMPJune 2017英文学科4年 中澤涼介遊学奨励金レポート38都留文科大学報 第136号

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