学報136号
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 1990年、都留文科大学に着任して27年、カーリー(インドの女神)クラブの仲間(女性教員)と共にすごせた時はあっという間に過ぎようとしています。この間さまざまな変化がありました。私の在任中には、外国語教育研究(現語学教育センター)センターをはじめとする諸センターの創設、最近では国際教育学科の創設などがありました。ハード面でも、コミュニケーションホール、新図書館、3号館、5号館、そして合同庁舎の場所の利用を含めた「知のフォレストキャンパス」構想が実現されつつあり、大学の発展を日々実感するこのごろです。 交換留学先も、私の着任時、英語圏はなく、現在の多彩さを考えると隔世の感があります。学生の興味関心も多彩になり、私の英語圏文学・文化研究ゼミの研究対象は、かつては英文学の作家が中心でしたが、今ではインドを含むアジア英語圏の多様な問題をテーマとする学生が多くなりました。21世紀に入る頃から、学生の関心が多彩化していることに英文学科として対応すべきという議論が活発化し、カリキュラムを大幅に改革することになりました。 それに対応すべく、私たちも研究領域を拡大する努力をしようとの合意がなされました。私自身も2001年のデリー大学の客員研究員としてインドに滞在した経験を契機に、インド英語文学に焦点を合わせて研究を続けてきました。ゼミ生からインドに一緒に行きたいという要望が寄せられるようになりましたが、この約束が果たせなかったのは残念なことです。私のフィールドは1947年の印パ分離独立の後遺症の残る地域でテロの危険と隣り合わせのところでしたので、なんども怖い目に遭った私としては迷いがありました。 学生の卒業後の進路へのヴィジョンも多彩化してきました。夢を実現しようとする積極性も顕著になり、それを支援する体制も整ってきました。学生生活全般を支援する担当者として長年かかわってきた私としては、勉学や将来のことを積極的に考えるベースを作ることの難しさも実感してきました。 学生時代はいわゆる「疾風怒涛」の悩み多き時期です。加えて、大学周辺にほとんどの学生が居住している村的コミュニティは居心地のよい場所である反面、人間関係の距離を保つ上で大変なところです。文学を研究してきた者として、文学(文化テクストの「物語」も含む)との深い対話を通して自己が見えてくる、深いコミュニケーション力や人間関係への洞察の力が養成されることを、卒論提出1か月前頃からのゼミ生の踏ん張りから実感させてもらいました。ジェンダープログラム創設のための仲間の方々を始め多くの教職員の方々にもいろいろお教えいただきました。 皆さまへの感謝の念をこめて、都留文科大学がこれからもいろいろなことに挑戦されることを祈念してご挨拶とさせていただきます。さよなら文大英文学科 教授 大 平 栄 子3年ゼミの新年会にて5都留文科大学報 第136号2018年2月28日(水)

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