学報139号
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2007年、今泉吉晴先生とのご縁で、環境・コミュニティー創造専攻を開設するにあたり、本学に赴任いたしました。今泉先生からいただいた言葉が「外に出てください。都留には学ぶべきものがたくさんある。」でした。 1年目には別宮有紀子先生等のご尽力で獲得した環境GP の資金をいただき、「フィールドミュージアムカフェ」を地域の人々と共に夕食を食べながら地域のことを語るイベントを市内各地で6回開催しました。市内にたくさんの人脈ができました。また2年目からは、大学内に通称「ソロー小屋」を実習の授業で3年かけて建築、完成させました。学生達がノコギリの使い方もわからないことに驚きました。 フィールドワークの授業は岩手県葛巻町上外川地区の「森と風の学校」で実施して来ました。北上山系の最奥部で16戸の人々が力を合わせて命を繋いできたライフヒストリー。肉牛の子取り業。自力の民家や民具の報告書3冊を作りました。 フィールドミュージアムカフェを熱心に取り組んだ1期生の宮崎高虎は卒業後、熊本県にある自然学校に就職。廃校になった小学校で、地域資源を活用した自然教育に取り組んでいます。熊本地震のボランティア拠点としてもお世話になりました。 同1期生で小屋作りに3年間取り組んだ前原 融は岐阜県神岡町の標高1000mにある山之村集落に移住して日本産のわらび粉復活の取り組みを始め、マスコミに取り上げられて今話題になっています。 その後、東桂保育園や東桂小学校と連携して「鹿留子どもふれあいの森」の整備を進め、森林環境教育の空間として利用してきました。現在は市内3つの保育園・幼稚園と共に3回目の「幼児のための自然体験活動フォーラム」を開催し、県下の保育園・幼稚園に自然体験活動を普及することにあたっています。 2011年の東日本大震災では釜石を中心に田中夏子先生や何人もの先生方、そして学生たちと支援活動を続け、地元からの依頼によって5冊の報告書を出しました。その他、広島、熊本、岡山と学生や学科の先生と共に災害ボランティア活動を続けることができました。いつも大学や職員のみなさんに我々は支えられて来ました。 あっという間に学生たちと通り抜けた12年間でした。私たちが創った「環コミ」はその経験を引き継ぎ、新生「地域社会学科」として既にスタートを切っております。 最後にご指導いただいた多くの先生、我儘を聞いて下さった職員の皆さん、都留市役所のみなさん、東桂保育園の先生。そして学外でいつも私と共に学生の教育に取り組んで下さった宝の山学芸員のバンチョー(佐藤 洋さん)、本学講師の加藤大吾先生、東桂小学校教頭の小口尚良先生にあらためてお礼申し上げます。退職のご挨拶地域社会学科 教授 高 田   研42019年3月8日(金)

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