都留文科大学学報(最終)【Web差し替え(R7
14/50

人生はチャレンジだ国際教育学科教授 茂木 秀昭 国際教育学科の三期生として希望と志を持って入学した皆さんは、1年生の終わり頃からコロナ禍が始まり、2年次の交換留学が中止となり失望や当惑した人も多かったと思います。その後の3年間、いまだにコロナ禍も収束せず、普通のキャンパスライフさえ思うように送れなかったのは痛恨の極みだったことでしょう。それでも、止まない雨がないように、徐々に暗雲から光が差し始め、再びキャンパスライフも戻りつつあり、留学にも行けるようになったのはよかったと思います。無駄な修行はないと言う如く、いつかは自分の思いはかなうものだと思って、今後の人生でも夢と希望を持ってチャレンジしていってほしいです。人は挑戦を諦めたときに老いていくのだと思います。最後に、宗教者であり哲学者でもあった清沢満之を祖父に持つ思想家清沢哲夫の『道』という詩を送ります。   『道』此の道を行けば どうなるのかと 危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし ふみ出せば その一足が道となる その一足が道である  わからなくても 歩いて行け 行けばわかるよ「迷わず行けよ、行けばわかるさ」のチャレンジ精神で、自分の可能性を探究して、良き人生を送ってください。卒業おめでとうございます。自分で調べ、自分の頭で考える学校教育学科教授西本 勝美 今春卒業されるみなさんは、2年次の当初から新型コロナ渦にみまわれ、卒業までの3年間、行動が制限され、マスク必須の生活を余儀なくされました。大学生らしい活動や遊びも十分にできず、不本意だったことと思います。せめて、コロナ渦だったからわかったこと、身に付いたと言えることが一つでもあればと願うばかりです。 コロナ渦において政府も、いわゆる「専門家」たちも、じつに無様な姿を露顕しました。政府の場当たり的な対応は非難を受けるたびにコロコロと変わり、政府の顔色ばかりをうかがう「専門家」は修復不可能なまでに信頼を失いました。また、昨春からのウクライナ紛争は、高度なネット時代ゆえにこそ、本当のことが何一つわからないという逆説を生み出しています。これほどまでに情報の信憑性が揺るがされた時代はかつてないでしょう。 こうした時代に、みなさんは大学を卒業し、本格的に「社会」に参入していくことになります。私がみなさんに期待するのは、扇動的な主張や、単純な二項対立図式に簡単に乗せられないでほしいということです。違和や疑問を感じる主張に対しては、自分で調べ、自分の頭で考える、それなりの時間とエネルギーが必要です。少なくとも、自分がすっかり納得できるまでは判断を保留するという態度を見せてほしいのです。そして、その素地は、4年間の大学の学習や活動を通して身に付いているはずです。卒業おめでとう。142023年3月6日(月)

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る