都留文科大学学報(最終)【Web差し替え(R7
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この度、今年度末をもって学長を退任することになりました。 振り返ると、2020年4月の着任当時は、わが国を含む全世界が新型コロナウイルス感染症の拡大という難局に直面しており、非常に難しい舵取りを迫られたスタートでした。また、少子化・高卒人口の減少に伴う大学間競争激化の時代を見据えて、それまで本学が抱えていた諸課題の解決にも奔走し、もう一方で、将来構想検討への着手にも取り組んでまいりました。 それにしても、「なぜ4年任期の1年を残して退任するのか」といった疑念を抱く向きもあろうかと思いますので、先ず任期途中での退任を決めた主たる理由について述べ、そのうえで、都留文科大学(以下、都留文、本学)の魅力・卓越性について紹介し、最後に、学生さんや教職員への期待について簡単に述べることにします。 この時期での退任を決意した主たる理由は、新年度からの新棟のオープンと、将来構想委員会および全学科・全専任教員の尽力により、2024年度に向け学部学科の再編、カリキュラムの改編、副専攻制の導入などが決まり、本学の方向性について一定の目処がついたことにより、新たな学びとキャンパスライフの豊かな展開が期待される、このタイミングで退任することが望ましいと考えたからです。 都留文の特徴・魅力は多々ありますが、本学に着任して知ることになった点やこの3年間の改革改善の取り組みを中心に列挙します。 第1は、各学年850名程度、全学年3,400名程度の小規模大学ですが、全都道府県からほぼ人口規模に比例して学生さんが集まっていることです。出身地それぞれの方言や文化を携えて集い、約8割は大学周辺のアパートやマンションに住んでおり、授業はもちろん、部活・サークル活動やボランティア活動にも参加し、豊かなキャンパスライフをエンジョイしています。 第2は、教育・学びの多様性と卓越性です。本学に着任して最も驚いたことの一つは、開講科目数が非常に多いことです。これは、一つには小・中・高校の教員免許関連科目や語学教育科目(英・独・仏・西・韓・中)が多いからでもありますが、教養科目や各学科の専門科目も多彩であるからでもあります。卓越性については、大多数の教員は研究意欲も旺盛で、その成果も踏まえて授業や指導の改善・充実に熱心に取り組んでいます。現代の大学教育には、学問的レリバンス・現代的レリバンス・社会的レリバンスを高めることが求められますが、この点でも充実している授業が非常に多いように見受けられます。 第3は国際性です。コロナ禍で海外渡航が制限された時期を除いて、交換留学や語学研修や海外フィールド研修などで毎年、百数十名の学生が海外学修体験をしており、昨年からは毎年200名以上を目標に掲げ、協定やプログラムの拡充を図っています。この目標は達成可能と見込まれていますが、そうなれば、四人に一人が海外学修体験をすることになります。 第4は地域性です。都留文は都留市が設立している公立大学として、地域交流研究センターを中心に多彩な活動を展開しています。毎年実施しているプログラムやイベントは約90あり、約100名の学生が参加しており、地域での種々のボランティア活動にも約200名が参加しています。また、毎年、学生たちが地域調査を行い、写真付き記事にまとめて年4回程度発行するフィールドノートも評判になっています。 第5は、教員養成・教員支援の伝統と卓越性学長退任の挨拶都留文科大学学長 藤田 英典22023年3月6日(月)
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