都留文科大学学報(最終)【Web差し替え(R7
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••••• •••••••••• 都留文科大学2022年英文学科・英文学会 後期講演会 •••••英語が上手いとは何か~”娘はハーバード、従業員は外国人”の私の回答~開 催:2022年11月18日(金) 講演者:廣津留真理氏 2022年11月18日(金)に著書も多数お持ちで、メディアにもたくさん取り上げられている廣津留真理氏をお招きして、『英語が上手いとは何か』というテーマのもとzoomを用いて講演会を行った。講演会では、英語を三つの力に分けて細かく解説していただいた後、それを踏まえて廣津留真理氏がどんな人生を歩んで来たのか、そして英語の上達方法まで聞かせていただいた。最後のQ&Aの時間では氏の言葉に感銘を受けた参加者から熱意のこもった質門が寄せられた。この講演を通して心に残っている場面が二つある。 一つ目は目的意識についてである。氏は講演内で、得た知識をどのように活かすかを考えることが大切だと述べられた。現在、私たちが英語を習得するきっかけはほとんどが学校で始まる英語の授業である。教育の現場では、身につけた英語に関する知識を実践的に利用するアクティブラーニングなどの様々な手段を用いているが、手段がどんなに優秀でも生徒に活かそうとする気持ちがなければその効果を十分に発揮することができない。ここから、英語学習においてまず必要なのは英語の利用価値に気づくことであると理解した。講演会の中でも触れられていたが、英語が使えるだけで得られる情報量が何倍にも膨れ上がる。こういったことに気づくのには英語を科目ではなく、言語として触れる時間が必要だと思われる。そのためにも小学校から始まっている英語の授業というのは効果的なのではないかと考えるようになった。私はこのような動きには好意的な気持ちを持っていなかったが、今回の講演を通して良い手段なのではないかと感じた。 二つ目は日本人の英語への積極性についてである。氏は日本人は完璧主義であり、100%の自信がなければ行動しない傾向がある。また、日本はほぼ単一民族であり、日本独自の暗黙の了解を前提として様々な話を進めることがあるという旨の話をされた。いわゆる空気を読むという文化のことである。氏の話を聞いて、こういった日本人に根付いた慣習が言語学習に悪い影響を及ぼすのだとより一層感じた。完璧主義の私たちは日本語を使う場面でも断言をすることはめったにせず、お互いが空気を読んで察しようとするのである。母語でも積極的なコミュニケーションを取らない私たちが英語でコミュニケーションをとれるはずがないのである。氏はここで、多様性を認めることが大切だと述べられていた。日本では日本のコミュニケーションの取り方があり、英語には英語のコミュニケーションの取り方がある。その違いを認めなければならないのである。 質疑応答では、氏の言葉に感銘を受けた5人の方からの質問に答えていただいた。聞いているだけでもためになるやり取りがなされ、とても有意義な講演会になった。(英文学科 1年 田村真悠)講師紹介20代から一貫して「褒めて伸ばす英語の先生」。著書9冊、翻訳書1冊。オンライン英検合格トップ校「ディリーゴ英語教室」主宰。大分の公立小中高から塾なしで米国ハーバード大学に現役合格した娘・廣津留すみれの家庭学習指導経験から確立した汎用性のある「ひろつるメソッド」でディリーゴ英語教室を運営、これまでに数万人を指導、英検や難関大学合格に導く。現役ハーバード生が講師陣のサマースクールSummer in JAPAN(2012~)で多様性重視のグローバル教育を推進し、2014年経済産業省「キャリア教育アワード」奨励賞受賞。早稲田大学卒。廣津留真理(ひろつる まり)講演会だより39都留文科大学報 第151号
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