都留文科大学学報(最終)【Web差し替え(R7
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2022年7月にドイツのマインツで開催された、ハーバード大学The Institute for World Literature(IWL) 主催の夏季世界文学セミナーに参加しました。活版印刷で有名なヨハネス・グーテンベルクが生まれた都市マインツで、世界中から集まった研究者達と学ぶという貴重な経験のためにご支援くださった先生方と大学に心より感謝いたします。 セミナーでは、ヨハネス・グーテンベルグ大学のDieter Lamping先生による “The Diversity of World Literature”という講座と、リスボン大学のHelena Buescu先生による”Doing’ Things in World Literature”という講座を受講しました。 Lamping先生の講座の中の「世界文学と資本主義」の授業では、カール・マルクスの『共産党宣言』をいかに自分の言葉でシンプルに表現できるのかが試されました。「世界文学とコスモポリタニズム」についての回では、「現代の東京の人々はコスモポリタンか?」という問いを先生に尋ねられたことが印象に残っています。一生懸命答えると、6人のクラスメイトも真剣に聞いてくれ、休み時間や放課後も熱中して議論を続けました。Lamping先生は、世界文学としての俳句についても強い興味をお持ちで、授業では俳句に関するプレゼンテーションを任せていただきました。芭蕉が都留市の田原の滝で詠んだ俳句を写真と共に説明したり、有名人が自作の俳句を競い合うバラエティ番組が人気であることを発表しました。 後半のBuescu先生の授業では、自然災害を経験した作者の第六感について話し合う機会があり、そこでは、村上春樹の阪神・淡路大震災の翌月を舞台にした小説『神の子どもたちはみな踊る』を紹介しました。 世界中から集まった文学を愛する研究者の方達と、朝から夜まで場所を変えて深い議論ができる環境は、IWLでしか味わえない貴重なものです。IWLで得た新しい着眼点で、今後とも文学や社会情勢を見つめ続けていきたいと思います。大学院文学研究科 英語英米文学専攻2年 田口 萌華ハーバード大学世界文学セミナーに参加して文大だよりライン川クルーズディナーにて閉会式にてダムロッシュ先生から証書の授与43都留文科大学報 第151号
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