都留文科大学学報(最終)【Web差し替え(R7
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私が文大に着任したのは、2015年4月でした。それ以前は民間の総研の研究者であった私が大学に移った最大の理由は、ゼミを担当したいという強い想いでした。大学での講義はいくつか経験しましたが、ゼミの担当教員として学生とより深く接し、卒論指導を経験したかったのです。その後、公共政策論ゼミを開講するに至り、この3月で5回目の卒業生を送り出すことになります。 文大の学生は真面目で、努力家で、素直で、指導し甲斐がありました。公共政策論ゼミは、講読する文献が多く、レジュメ作成が大変という悪評が立っているようですが、それを承知で(一部には知らずに迷い込む人もいたらしい)このゼミを選んできた学生のことを、私は誇りに思います。ゼミ飲み会の頻度は高い方で(どうやら私が飲み会好きだと思われていたらしい)、ゼミ生の立っての希望から夏休みにゼミ合宿にも行きました。しかしここ3年間は、新型コロナ感染症のためにこれらを開催できていないのが、残念です。 卒論指導は思った以上に大変でした。私の性格が細かいこともあり、ゼミでの発表と個別の面談を何度も繰り返しました。それでも筆が順調に進まないゼミ生が、毎年必ず2、3人います。どうなることかとヒヤヒヤしていますが、年末年始を徹夜して書き上げた強者もいました。今年度のゼミ生も、コロナに負けず、元気に巣立って行きそうです。私も、ゼミ生達に大いに育てられました。 文大では、ゼミや講義の授業の他に、専任教員として学務にも関わらせてもらいました。広報委員のオープンキャンパスから始まり、大学入試改革の影響を受けた学科の入試制度改革、教務委員としての日々の対応など、大学の経営の仕組みを理解することができ、大変勉強になりました。特に今年度は、地域社会学科長という大役を仰せつかりました。正直に申し上げると、不心得者の私は、学科長などという(大変で忙しい)役職には前向きではありませんでした。しかしながら、いざ学科長になってみると、多くの同僚の先生方の全面的な協力を得られ、大過なく終えることができそうです。事務局の職員の方々にも、大変お世話になり、感謝の気持ちでいっぱいです。 このように、楽しい思い出は尽きないのですが、4月からは新たな一歩を踏み出す予定です。これまで再生可能エネルギーを軸とした脱炭素のためのエネルギー転換を研究してきましたが、エネルギー安全保障情勢の激変も受けて、新たな環境でそのような研究に専念する所存です。とはいえ、大好きな公共政策論ゼミについては、2023年度も非常勤講師として4年生に対する卒論指導をやらせてもらえることになりました。文大にてお会いした際には、声をかけて下されば幸いです。 本当にお世話になり、ありがとうございました。今後とも宜しくお願いします。文大の思い出:公共政策論ゼミから学科長まで地域社会学科教授 髙橋 洋公共政策論4年ゼミ生による誕生祝いさよなら文大82023年3月6日(月)
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