都留文科大学学報(第152号)
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3 新棟で何をどのように学べるのか 持続可能でよりよい社会を創りだすためには、知識や技能などの基礎的な能力と共に、高い倫理観や豊かな創造性といった「複雑な能力」が求められます。THMCのねらいは、新たな考え方による学修環境を整備することで「さまざまな人が集う、学ぶ、深める」、即ち、学修者が地域を基盤としながら自律的かつ創造的で豊かに学び、予測が困難な時代にあっても、より豊かな人生を送るために必要な能力を高め合うことです。そのためには、多世代による交流や地域との繋がりの中で実践的かつ主体的に学び、積極的に社会にかかわることの意味を理解する必要があります。更に、グローバルな世界がDX化する中で、ローカルな都市におけるDX人材の育成は喫緊かつ、本学と地域が共有すべき課題でもあることから、デジタルコモンズには、地域のDX化を推進するための学修拠点としての期待も高まっています。  このように、様々な工夫や配慮を凝らしたTHMCは、本学の考える「社会に開かれた学び」の実現を目指す為の新しい発想の設備です。また「教職支援センター」をハブとして、地域の学びをつなぎながら「探究型学習塾」や「市民大学」と連携しつつ、地域の「学修者本位の学び」の実現にも貢献できると考えています。 この間、私は何度もTHMCに出かけて、学生さんがどのような学びを始めるのか、注視してきました。THMCには、学生さんが朝8時半頃から集まり、夜9時過ぎまで熱心に学んだり、学科を超えて仲間と楽しそうに交流したりする様子がみられます。併せて、使った席はきれいに片付けられていて、高い倫理観のもと、新たな学びの場を共有していると感じました。学生さんに話を伺うと「快適な空間で集中できる」「こんな学びの空間が欲しかった」と言っていただきました。既に学生さんにとって、THMCはなくてはならない設備となったようです。 地域との新たなつながりに関していえば、教職支援センターの提案により、4F模擬教室で「都留市学校経営研究会」が開催されました。ここには地域の小・中学校から校長先生9名と、教育委員会や教育研修センターから合計3名の関係者が集まりました。また、終了後にTHMC内を見て頂きつつ学生さんとも交流する中で「穏やかな雰囲気の中で、多くの学生さんが落ち着いて学修に励んでいる」と評価していただきました。併せて「新しくきれいで今後も利用したい」「とても落ち着いた雰囲気と、使いやすい机や椅子で集中することができた」といった感想も頂きました。研究会終了後には、デジタルコモンズでVRも体験していただきました。「先進的な施設に大変驚いた」「VRは模擬授業にも活用できると思った」などの感想を頂き、DX人材育成に関しても新たな可能性を共有できたと感じています。今後は、「都留市学校運営研究会」などにも開催を呼びかけ、更に多くの方にTHMCを知って頂き、未来志向の活動を試行していきたいと考えています。THMCが始動したことにより、本学と地域の新たなつながりが始まりました。上述の研究会のほかにも、様々な方から「学会や研究会の会場として使ってみたい」といったお話を伺っています。また、「つる子どもまつり」をはじめ、デジタルコモンズなどを使った様々なワークショップや、カウンターキッチンを使ったコミュニケーション型の活動なども計画されていて、今後更に、交流の輪が地域に広がることを期待しています。私も一教員として、「さまざまな人が集う、学ぶ、深める」に参加したいと思います。 文末ではありますが、THMC整備に向けてご理解・御協力いただきました学内・外、地域の皆様に、新棟建設部会を代表して厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。今後も引き続き、THMCの活動にご理解・御協力賜りますよう、宜しくお願い申しあげます。新棟建設部会長   鳥原正敏11都留文科大学報 第152号

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