都留文科大学学報(第153号)
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私は、群馬県にある母校の小学校で3週間の教育実習を行いました。実習に行く前は、子どもたちに受け入れてもらえるのか、研究授業等で大きな失敗をしてしまうのではないかなどの不安がありました。しかし、実習を終えた今、そんな不安だった気持ちは忘れてしまうほど充実した楽しい毎日を送ることができたと感じています。そして、教師を目指す気持ちが一層強まっていった実習になりました。私が担当したクラスは5年2組でした。初めは緊張しており、どう話しかけて良いかわかりませんでしたが、朝登校してきたときの「おはようございます」という元気な挨拶や、緊張しながらも話しかけようとしてくれた子どもたちの姿を見て、自分も積極的に頑張ろうと感じました。そこで、私はまずクラスの子どもたちの顔と名前を覚えました。やはりただ話すよりも、名前を呼ばれると嬉しかったり、自分に興味を持ってもらえていると感じたりするのではないかと考えました。実習の事前説明でも、何よりも子どもとの信頼関係が大切だということを教わっていました。実際、名前をいち早く覚えてコミュニケーションを積極的に取っていたことは、子どもとの信頼関係を築くのに役立ったと思います。実習では、大学で学んできた知識と結びつくような経験に加えて、 現場でなければ得られない学びが数多くありました。特に感じたのは、授業をスムーズに進行するには入念な教材研究が大切だということです。授業を行う際、目当ての達成を目指しつつも、授業が教師からの押し付けになってはならず、だからと言ってあらぬ方向に子どもたちの意見が飛び交ってしまっては授業が成り立ちません。さらに、想定外の発言が生まれたり、逆に反応が全くなかったりすることもあります。私が授業を行った際も、想定していたほど子どもたちの考えが深まっていかない場面がありました。実習校の指導担当の先生からは、そうした状況を改善するためには、想定できるところまではしっかり想定して発問を考えておき、想定外のことに対しても臨機応変に対応できるよう教材研究を十分にして、教師が教材を良く理解しておくことが重要だと助言して頂きました。幸いにも、その時は隣のクラスで同じ授業を行う機会があり、改善して授業を実施することができました。 私自身が小学生として過ごした約10年前に、小学校の楽しさに気づかせてくれた先生方や友だち、今回の実習を受け入れてくださった母校の先生方、最終日にはお楽しみ会を開いてくれて、元気いっぱいに私のことを「先生」と呼んでくれた子どもたち。この実習を終えて、自分に関わってくれたすべての人に感謝の気持ちでいっぱいであると共に、母校において貴重な経験ができたこと、 多くの人と関われたことを嬉しく思います。夢を与えてくれた母校に恩返しができるよう、教員採用試験に向けて、そしてその先の未来に向けて、これからも邁進していきたいと思います。教育実習を終えてお楽しみ会の様子教育実習報告学校教育学科3年戸部  葵17都留文科大学報 第153号

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