都留文科大学学報(第153号)
18/32
私は令和5年6月5日から16日までの2週間、母校である沖縄県の高校にて教育実習を行い、日本史と第3学年のクラス担任を担当させていただいた。実習が始まる前はかつて経験したことがないほどの不安と緊張に押しつぶされそうになる日々だった。実習を終えた今、むしろ思い出されるのは生徒たちとの怒濤の日々である。今回、教育実習に臨むにあたり大学の教職課程で学んできた理論が実際の学校現場ではどのようにして活かされるのか、またどこまで通用するのかといった部分を体感したいという思いがあった。生徒との関わりや、担当した日本史の授業を通して、理論と実践の繋がりを強く感じることが出来た。ここでは、私がこの2週間の教育実習を通して学んだことや経験したこと、感じたことを生徒対応と授業実践の2点からお話ししたい。生徒対応に関しては、前述の教育理論の活用という観点から、生徒たちには自分から積極的に話しかけ関係構築をはかり、顔と名前をいち早く覚えてクラス全員とコミュニケーションを取るよう心がけた。それにより、短い期間ながらも生徒の進路の悩みや学校生活についてたくさん話す事が出来、少なからず生徒との信頼関係の構築を図れたという手ごたえを感じた。また、2週目に学園祭があったことも生徒と関わりをもつさらなる大きな要因となった。担当した3年5組では、教室を使って夏祭りをモチーフにした縁日を行った。縁日や学園祭準備における様々な作業を共に行うことを通してクラスの団結や生徒一人一人の頑張りに気づくことが出来、また学校行事を通して生徒が成長する姿を間近で実感出来たことはこの教育実習の大きな財産となった。縁日の衣装としてクラスの男子生徒たちが着るお揃いの青い半被 を、教育実習生である私の分も用意してくれていた素敵なサプライズがとても嬉しかった。授業実践については、指導案などを含めて実習前に徹底して準備を行い臨んだものの、実際に教壇に立ってみると全く上手くいかず、最初は授業中に頭が真っ白になってしまうことが何度かあった。しかし、教科担当の先生のご指導のもと、改善点を修正してすぐ次の授業に活かすことや、生徒の反応を見て教材を変えてみたり指導案を工夫してみたりといった地道な作業を通して徐々に授業を作り上げていき、研究授業では自分が納得のいく授業が出来た。一方で、生徒の主体性を引き出すような発問や授業の軸となる問いの立て方に関しては、まだまだ改善の余地があると感じたため、ライフワークとして取り組みたい。教育実習では、教科担当の先生をはじめ、様々な先生方からご指導いただき、多くの方々にお世話になった。教職課程の最終関門である教育実習を無事終え、教員として働く上での過酷さや楽しさを体験することが出来た。この貴重な経験を忘れず、教員を目指してこれからも努力を続けていきたい。生徒たちとお揃いの青い半被生徒達から贈られた色紙地域社会学科4年花城 康成教育実習報告182023年12月4日(月)
元のページ
../index.html#18