都留文科大学学報(第153号)
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1.カフェコモンズの様子後期も始まり、学生さんが大学に戻ってくると同時に、カフェコモンズは大人気の空間となりました。朝7時半ごろから夜9時過ぎまで常に人がいます。特に、授業の合間やお昼休みはほぼ満席で、留学生の姿も見かけるようになりました。利用者に話しを聞くと「コンセントがたくさんある、自販機でスナック菓子や食べ物が買えるので助かる、電子レンジや給湯器があるのもありがたい。これから寒くなるのでマイボトルを持参して暖かいお茶やスープなどを飲みたい」とのことでした。狙い通り、カフェコモンズはTHMCの中で最も稼働率の高い空間となりました。2.デジタルコモンズの様子デジタルコモンズで偶然見かけたHさん(地域社会学科1年生)とSさん(地域の活動団体)にお話を伺いました。「地域活動の準備をしに来ました。デジタルコモンズには作業用の大きなテーブルがあるので助かります。レコードでBGMが聴けるのもよいです。欲を言えば、ペンやマジック、ハサミ、ノリ、大型の定規など、共用の文具があればありがたいです。」また、地域の小学校の先生(本学研究生)が、レーザーカッターを使いこなしながらレザークラフトに没頭、探究する姿も見られました。これに刺激をうけて、レザークラフトやレーザーカッターを使い始める学生さんも現れました。3.4階ラーニングコモンズの様子最上階にある4階のラーニングコモンズは、見晴らしもよく静かで、夜遅くまで人がいます。一方、少し硬い雰囲気もあったので、私から積極的に話しかけつつ「もっと自由に活用してほしい」旨伝えました。同時に、机と椅子の配置を変えてみたり、様々な教具を置いたりしながら、柔らかい雰囲気になるように工夫してみました。すると、徐々に場の雰囲気が変わりはじめ、設置されたホワイトボードを使ってゼミの準備や続きの活動をしたり、外部の研究者と一緒にディスカションしたりするなどの様子が見られるようになりました。また、学生さんが近隣の高校生の相談に乗ったり、話を聞いたりする様子も見られました。開放性の高い空間を利用して、オープンなゼミ(履修者以外の人が居ても構わない)を行う先生もいます。こういった活動に、既存の教室とは異なる新たな学びの可能性を感じます。4.教職支援センター2の様子THMCで行われている様々な活動の中で、私個人としては、「教職支援センター2」の活動に注目しています。ここには常に、教職に興味がある様々な学生が集まり、自主ゼミや教員採用試験に向けて自律的に勉強したり、互いの専門性を活かして教え合ったりする姿も見られます。彼らはここで長い時間を過ごすので、勉強だけではなく一緒にお茶を飲んだり、時には掲示板の装飾などの工作をしたりすることもあります。こういった活動を通して、強い信頼関係をつくり新棟を構想するなかで「自律的かつ主体的な学び」が話題となりました。これを言い換えると「内発的な動機をもとに見返りを求めることなく始めたことを続けた結果、これに意味を感じること」即ち、我々はどのように「探究を醸成するのか」ということになります。これまで新棟建設部会では「教員がつくり上げたプログラムを一方的押し付けるのではなく、THMCに集まる人々が何をしようとしているのかを観察しながら、どのような支援をすべきか見極めることが重要である」と考えてきました。本稿では、こういった視点からTHMCの近況をご報告します。THMCの近況について-学修者本位の学びを支援する- 元新棟建設部会長教職支援センター長・学校教育学科教授 鳥原 正敏62023年12月4日(月)

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