都留文科大学学報(第153号)
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だしながら深め合い、「やってよいこと」と「いけないこと」の線引きを探り、自らルールを共有しようとしています。また、来訪者やラーニングコモンズに来た高校生に気遣いを見せるなど、人として大きく成長していると感じています。彼らにとって「教職支援センター2」は「家」でありTHMCは「小さな社会」です。彼らは「LIFE(生き方)」を学ぼうとしているように見えます。これは、アメリカの思想家ジョン・デューイ(1859~1952年)の試みた「実験学校Laboratory School」の思想や、本学の元学長である大田堯先生(1918~2018年)の考えた「生きることは学ぶこと」にも重なると感じています。更に、こういった学びを少し距離を取りながら見守り、支援する教職支援センター2に所属する先生方の考え方にも注目しています。THMCのオープンから約半年が経ちました。この間、多くの来訪者がありました。また、「教育実践研究会」「つるぶん授業フェス2023」など、大型の研究活動も行われてきました。今後も更に活用が進むと考えています。夏休み中も人が途絶えることはなく、卒業生や近隣の高校生、中学生の姿も見られました。立地の良さもあり、当初狙った「大学と地域をつなぐエンカウンター」の機能を十分果たしていると思います。更に、各ラーニングコモンズだけではなく、空き教室を使ってグループミーティングをしたり、教育実習やゼミの課題に取り組んだりする様子も見られます。当初、我々教員同様に学生さんも、新しい建物をどのように使ってよいのか探っているようでしたが、徐々に互いの様子を見ながら、概念としてのルール(あたりまえ)を共有しようとしています。誰かから一方的に道徳観や倫理観を押し付けられるのではなく、お互いを尊重し合いながら「どのようにすれば、より良くこの場を共有できるのか」といった想いを通わせ、考えることは、変化の激しい時代で求められる重要な力を育むことに繋がります。このように学修者が、これまでの授業やプログラムだけでは学ぶことができなかった、新たな時代で求められる力を身につけようとする姿にも注目しています。夕方になるとロビーやウッドデッキ、ベンチで語り合う様子や、動画を撮影しあう様子も見られました。既にTHMCは、彼らにとってなくてはならない居場所になっていると実感しています。私も、学修者(学生・教員・地域の方々)がどのような学びを求めているのか、今後も注意深く見守りながら、こうした新しい活動の支援について考え続けていきたいと思います。是非、皆様にも新しい考え方による本学の学びを見て頂きたと思います。どうぞTHMCにお立ち寄りください。4階コモンズの様子(視察に訪れたUniversity College Copenhagenの先生方が新井仁ゼミに参加)教職支援センター2の入り口 (学生さんがつくった看板が目印)デジタルコモンズで作業をするHさんとSさんベンチに集まる学生さん7都留文科大学報 第153号
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