都留文科大学学報(第153号)
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2022年8月31日から9月15日まで、友人に会い、文化や女性問題について学ぶためにイランに滞在しました。2週間の滞在で、宮殿やモスクをめぐって育まれた文化や歴史を堪能しつつ、友人の祖母との世代間交流もできました。何よりも印象に残ったのは喜捨の心です。人々は、道中で出会う全盲やホームレスの方に惜しみなく寄付や介助をします。旅行前にネットで、イラン人と日本人の国民性が似ているという記事を見かけましたが、果たしてその通りなのか考えさせられました。私が帰国便に乗った頃、ヒジャブの着用をめぐって22歳のマフサ・アミニさんが道徳警察に殺害される事件が起きました。昨日まで見ていた街にはデモの炎、利用していた駅は混乱状態。友人も2週間大学に通えず、その報告を受けたのも、情報統制によって3週間も連絡が途絶えました。今なお女性たちの正義への戦いは続いています。1枚の布が政治利用され、女性の権利が軽視されることは他人事とは思えません。イラン滞在は、自分の行動や意識を顧みる機会になりました。すべての出会いに感謝し、今後も他国の問題を自国の問題に落とし込んで考え、行動したいと思います。旅をすることは日常を顧みること比較文化学科4年石田 万里奈NPO法人LES WORLDが主催する、ザンビアの孤児院で3週間子どもたちとミュージックビデオをつくるワークショップに参加した。私が訪れた孤児院には、ストリートチルドレンとして路上生活を送っている中で保護された子どもたちが生活していた。彼らは想像を絶する辛い過去を持っていた。当初は、あまりにも想像を超える過酷な人生で、どのように反応して良いのかわからず困惑したが、活動を通して徐々にお互い心を開いていった。辛い過去があるにもかかわらず、彼らは毎日とても輝かしい笑顔で、未来に向かって生きており、とてつもない熱量の夢と希望を持っていた。皆元気がよく、パワフルで、いつも笑顔で、様々な優れた才能があり、本当にたくさんの楽しい思い出を共につくった。初めてのアフリカ渡航に不安もあったが、この3週間は一日一日、一瞬一瞬がとても充実して、今ではザンビアに家族のような大切な存在ができたと胸を張って言えるほどだ。 私はここで出会ったザンビアの子どもたちから、人間の生きる根源のようなものを見出した気がする。世界には、学校に行きたくてもいけない子どもたちがいる一方で、学校に行けるのに勉強したくない子どもがいる。困難な環境の中でも希望を持ち続けるザンビアの子どもたちをみて、多くのことを考えさせられた。ザンビアの孤児院の子どもたちから学んだこと国際教育学科3年遅澤 瑞貴ミュージックビデオ撮影本番の日!夏季休業を利用して学外で学ぶカーシャーン・アブヤーネ村の売店9都留文科大学報 第153号

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