学報154号
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2024年2月10日(土)、都留文科大学比較文化学科は、学科創立30周年を記念したシンポジウム「共生と記憶の比較文化論―ともにつくる歴史と現在」を開催しました。その目的は、本学科の教員や卒業生、在学生が一堂に会し、「国際性・現代性・学際性」を基本理念とする比較文化学科が積み重ねてきた学知と実践について、多角的に議論することにありました。当日は、会場となったTHMC(6号館)201教室、そしてオンラインでの参加も含めて約50名が集まり、活発な意見交換がなされました。開会の辞では、加藤敦子学長が比較文化学科の歩みと成果を振り返り、今後の展望を語りました。学長は、教員養成系大学として知られる本学において、教員養成課程を擁しない学科として1993年に誕生した比較文化学科が、異なる文化や価値観を尊重しながら、共生の可能性を探求する研究重視の学科として社会に貢献してきたことを評価しました。そして、グローバル化とともに世界における多様性の理解、そしてそれにもとづく社会的実践がますます重要となるなかで、比較文化学科がより重要な役割を果たすことへの期待を述べました。第1部では、比較文化学科長である菊池信輝教授がシンポジウムの趣旨説明を行いました。菊池教授は、本シンポジウムのテーマである「共生」と「記憶」について、比較文化学科の過去と現在における教育・研究実践とのつながりから解説しました。この30年を通じて、単に多様な人、モノ、そして自然が共存するのみならず、相互に影響し合いながら、新たな価値や意味を創出することとしての「共生」、過去の出来事や経験をただ検証・再現するのではなく、現在の文脈や目的に応じて再構成・想起することとしての「記憶」という学科創立以来の学際的な研究課題の重要性は減ずるどころか、ますます増しています。それを象徴する学科10周年記念論集『記憶の比較文化論―戦争・紛争と国民・ジェンダー・エスニシティ』、そして20周年記念論集『せめぎあう記憶―歴史の再構築をめぐる比較文化論』のあゆみを踏まえ、本年3月刊行予定の30周年記念論集『共生と記憶の比較文化論―ともにつくる歴史と現在』に収録された論文の紹介から、「共生」と「記憶」というテーマが、いかに具体的な学科の研究実践に応用されているかが解説されました。第2部では、比較文化学科出身の大学院生3名が、30周年記念論集の内容に関するパネル・ディスカッションを行いました。パネリストは、白鎮慶氏(東北大学大学院文学研究科在学中)、余楽氏(お茶の水女子特集:比較文化学科創立30周年~記念シンポジウム開催報告~特集:比較文化学科創立30周年特集:比較文化学科創立30周年~記念シンポジウム開催報告~~記念シンポジウム開催報告~22024年3月4日(月)

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