大学報155
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文学部国文学科に着任しました藤島綾です。専門は古典文学です。平安時代の仮名文学、とりわけ『伊勢物語』が現代まで受け継がれてきた歴史に関心があり、その実態について、文献資料を調査しながら研究しています。都留文科大学では、これまで約10年間、非常勤講師として講義を担当してきました。その間、新入生のみなさんが、大学の専門的な学びに向けて、高校時代に身につけた知識をさらに広げたり、深めたりしていく姿を間近で見てきました。また、やりとりをつうじて、私自身も考えを深めたり、学んだりできたことも、貴重な経験でした。文学のおかれた環境はつねに変化しています。読書という行為ひとつをとってみても、最近では電子書籍や朗読アプリなどが普及し、ツールが多様化しています。そのようなたえまない変化の一方で、千年以上にわたって人々が受け継いできた古典文学には、いったいどのような魅力があるのでしょうか。近年では古典文学を学ぶ意義を問われる機会が増えています。さまざまな意見はありますが、いずれにせよ長期的な視点を取り入れた丁寧な思考が必要ではないかと思います。大学という学びの場でみなさんと一緒に考えていければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。非常勤講師時代と特任准教授としての勤務を経て、この度、都留文科大学文学部英文学科准教授に着任いたします小室龍之介と申します。この度の着任をとても光栄に存じます。特任准教授として着任した際の挨拶文の中で、ごく一部のための「はしご」のような奨学金制度の必要性よりも、「みんなの高速道路」により高等教育をより広くゆき渡らせられる社会制度の必要性を訴えたイギリスの批評家・作家レイモンド・ウィリアムズの議論について触れましたが、この議論の意義を改めて噛みしめています。研究分野は20世紀イギリス文学および文化ではありますが、その中には、文学研究とはいえ音楽研究が含まれていたり、イギリス文学とはいえアイルランドやインドといった地域にもまたぐ研究が含まれていたりします。領域横断するのが好きなようです。本学でイギリス小説やポピュラー・カルチャーの講座を担当して数年、フェミニズムやジェンダー、人種や階級といったテーマを盛り込むことで、より良い生き方、より良い社会について考えるきっかけ作りを、イギリス文学および文化の授業を通して行えるよう心がけています。不肖ながら鋭意努力して参りますので、ご指導・ご撻のほど、引き続きよろしくお願い申し上げます。はじめて買った『伊勢物語』の絵入り版本。明治以降に印刷されたものです。ルーマニアのスペクトラル楽派の作曲家、イアンク・ドゥミトレスクとのコンサート後のひととき(2014年、アテネにて)着任のご挨拶着任のごあいさつ国文学科 特任講師 藤島 綾英文学科 准教授 小室 龍之介文大に着任するにあたって102024年7月8日(月)

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