大学報155
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このたび、地域社会学科に公共政策論の担当教員として着任した石垣千秋です。着任前の7年間は山梨県立大学に勤務しており、偶然にも同じ山梨県の公立大学で新しい仕事を始めることになりました。私は医療政策に関心を持っています。進歩が著しい医療技術の恩恵を私たちが受けていることに疑う余地はありません。その恩恵を国民が受けられるようにし、国民の生命と健康を守るのが各国の医療保障制度です。制度の下で多くのアクターが複雑な利害関係を有しています。それらを分析し、時には国ごとに異なる制度の比較を行い、さらにはよりよい医療のあり方を探っていくことが研究の目標です。医療政策との出会いは社会人になって5年目、休職して留学したイギリスの大学院でした。修士論文のテーマを検討する中で、当時の指導教員に勧められたのがきっかけでした。帰国後、「医療を動かす」をテーマとして集まった社会人向け講座で多くの人と出会い、それを研究する道を選びました。研究テーマも研究者としての自分の今も、人との出会いによってたどり着いたのです。学生さんにも不確実性が高い時代を生き抜く確かな力をつけ、思いがけない出会いから人生を切り開いていってほしいと思っています。4月に教養学部地域社会学科に着任いたしました田開寛太郎です。出身は富山県富山市で、前年度まで長野県松本市に6年間住んでいました。現在は都留市で生活をはじめ、自然や歴史文化にあふれたこの土地で働けることを大変うれしく思います。私の専門は環境教育で、最近は湿地教育やVRをキーワードに研究に取り組んでいます。先日、私が所属する日本環境教育学会中部支部の研究大会が福井県池田町で開催され、さっそく北陸新幹線を利用して参加しました。池田町は人口約2,600人と小規模な自治体ですが、食Uターン(生ごみ回収)による循環型農業や地元合同会社による小水力発電の実現など、着実な環境配慮や創造の取組みが進んでいます。印象的だったのは、地域で新しい価値を生み出し、そこで働く人々、そして地域の楽しみを見出す活動に参加する人々の姿でした。環境教育はたんに環境問題解決の手段としてリサイクルや節電を教えることだけではありません。池田町のように、日常生活の中で楽しみながら、環境を優先する新たな価値観を広げる場をデザインするといった大切な役割も担っています。そうした豊かな環境・地域づくりに貢献する大学を目指し、教職員や地域の皆さん、そして学生と共に、私のできることから少しずつ進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。修士課程の時に過ごしたイギリスのバースの町。古代ローマ人が造った公衆浴場の上にイギリスの貴族が保養施設を建て、今では観光地となっています。食Uターン堆肥「土魂壌(どこんじょう)」の製作過程を視察着任に寄せて着任のご挨拶地域社会学科 教授石垣 千秋地域社会学科 准教授 田開 寛太郎文大に着任するにあたって11都留文科大学報 第155号

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