大学報155
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2024年4月に教養学部比較文化学科に着任しました、閔東曄と申します。歴史学をベースに文学や哲学、社会学などの知見を取り入れながら、韓国・朝鮮地域を中心とした近現代東アジアの思想史研究をしています。これまで、近代的な知が東アジアの独自の歴史的文脈において屈折しながらどのように受容されていったのか、またその過程で、帝国主義/植民地主義とどのように接続されていたのかについて考察してきました。最近は、東アジアにおけるポストコロニアル状況、とりわけ植民地支配をめぐる社会的記憶や文化的表象、また在日外国人をめぐる諸問題についても関心を持っています。本学では、「正義論」(2025年度より「アジア思想」)や「地域研究」、「アジア文化・社会論」などの講義、演習を担当します。学生のみなさんには、他/多文化を通して「自己」を相対化し捉えなおすとともに、私たちの生きる「世界」を凝視し、よりよい人類社会のために、つねに「普遍的な問い」を携えて学んでほしいと思っています。異文化を体現する身近な「外国人」教員として、私も都留でみなさんと一緒に教育・研究に努めたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。2024年4月に比較文化学科に着任しました、横山美和と申します。ジェンダー論と科学史、科学技術社会論を専門とし、科学・技術とジェンダーの関係に焦点を当てて研究を行ってきました。科学や技術は客観的・中立的なものでジェンダーとは関係がないのではないかという疑問や、人々の生活を便利にする「良い」もの・営みであるという認識を持つ方も多いと思います。しかし、ジェンダーやフェミニズムの視点から見ると、科学や技術の研究者に女性が少ないのはなぜか、そしてそのことは社会にどのような影響を与えてきたのか、オートメーションやAIの発達が男女で異なった影響を与えるのか、リプロダクティブヘルス(性と生殖の健康)向上に資する技術への女性のアクセスが制限されていないか、など、多くの研究すべき課題があります。それらには、他の分野のジェンダー問題と同様に性別分業や文化的・宗教的背景などが深く関わっていると考えられます。着任後は「ジェンダー論」や「欧米社会・文化論」などを担当します。私たちが「当たり前」と思いがちな社会的・文化的な現象をジェンダー視点から分析することの重要性を、学生の皆さんと共有していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。京都帝国大学哲学科出身の言語学者・哲学者、崔鉉培の記念館(韓国・蔚山、筆者撮影)日本とアメリカの古い産児調節関連の本 左『別冊政界ジープ』第1号(1949年)、右Leo J. Latz, Rhythm (1932)(筆者撮影・個人蔵)比較文化学科 准教授閔 東曄比較文化学科 准教授 横山 美和他/多文化と普遍的なジェンダーの視点から問いのあいだで世の中を見る文大に着任するにあたって122024年7月8日(月)

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