大学報155
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はじめに、学外研究の機会を与えてくださったことに、都留文科大学並びに国際教育学科の先生方、関係する皆様に御礼申し上げます。昨年度1年間、東京外国語大学に内地研究員として受け入れていただきました。以前、外大では、留学生対象に講演をしたり、大学院の紛争解決講座で留学生に英語ディベートの指導をしたことがありますが、今回は、『国際コミュニケーション』に関する共著がある大学院国際日本学研究院の先生と日本語や日本文化とコミュニケーションに関する共同研究をおこなったり、図書館等を利用して、調査や著作などをおこないました。研究活動としては、コミュニケーション学を中心にして、異文化コミュニケーションの研究以外に、説得コミュニケーション(議論学)やコミュニケーション教育、メディアコミュニケーションに関する執筆や講演、取材協力などをおこないました。4月には「踏み込むコミュニケーションー議論の姿勢を学ぶー」として、建設的な議論における批判的思考力及び客観的論理展開能力の必要性に関する論考を執筆し発表しました。5月には、探究型教育が新学習指導要領でも導入される中、その一方法としてのディベートの効用に関して、全国都市立高校校長会の研修で100人以上の校長を対象に「課題探究の手法としてのディベート」という講演をおこないました。著作活動としては、『問題解決』に関する本の監修と一部執筆を行い5月に出版され、10月には韓国で韓国語に翻訳・出版されました。また、『調査方法』に関する書籍の監修と一部執筆を行い、7月に出版され、その中で触れたネットのコミュニケーション上の問題点に関してのインタビュー記事が11月に群馬の上毛新聞に掲載されました。同じ11月には2021年に監修し出版された『ロジカル思考』の書籍が簡体字中国語版として、中国で翻訳出版されました。異文化コミュニケーションに関する研究としては、特に日本人のコミュニケーションの特徴に関して、古代からの歴史や様々な事象の中で、コミュニケーションがどのようにおこなわれて、どのような意味や影響を持ってきたのか等について考察し、古代出雲王国の伝承などの文献をリサーチし、現地調査も数カ所でおこない、日本文化や宗教、日本人の行動原理とそれらの成り立ちに関する論考をまとめました。日本語のタミル語接触語源説についても、共同研究者と情報交換しながら、文献調査等を続けています。今回の経験を、これからの教育の中で還元していきたいと思っております。前身は1857年に江戸幕府が設立した蕃書調所という東京外国語大学ドラヴィダ諸語(タミル語もその1つ)等語学文献豊富な外大図書館国際教育学科 教授 茂木 秀昭「日本文化とコミュニケーション」学外研究報告19都留文科大学報 第155号

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