大学報155
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四月の帰り道、大学を背にして見える都留の山並みが、山桜の桜色や新緑の淡い緑色で春の柔らかな色合いに姿を変えていることに気づきました。昨年本学に着任し、春の都留の風景を見るのは二度目のはずですが、昨年は新しい授業や都留文科大学について知ることで頭がいっぱいだったようで見覚えがなく、今年目にした春の山並みは、初めて出会ったように印象深い風景として心に残りました。本学での時間を重ねるにつれ、少しずつ季節ごとの風景の移り変わりにも目を向けられるようになりました。この一年で思わず写真を撮らずにいられなかったのは、一月の朝、大学の向こうに見える山々が早朝の寒さで凍りついて白銀におおわれた姿でした。雪が降り積もったわけでもなく、山が白く凍りつくということを都留に来て初めて知りました。その一月は、初めて受け持ったゼミ生たちがなんとか卒業論文を書き上げ、ほっとしていた頃でした。本学での最初の役割の一つとして広報委員を仰せつかってからももう少しで一年というところで、この学報では「卒業論文・研究論文・修士論文一覧」の掲載に向けて準備が進んでいました。三月に受け取った本誌では、私にとって初めて送り出す四年生を含めた卒業生や修了生の論文題目が掲載され、大変感慨深い気持ちで眺めました。卒業式の前日には、研究室を訪れる四年生たちに卒論を書き上げた達成感を味わってほしいと思い、一人いそいそと学生の目に入りそうなところに題目一覧のページを開いて貼り出しました。一年間、広報委員として編集過程を拝見しながら、学報は学生のみなさんが日々の大学生活や教育実習、留学、部活動などの様々な活動の場でどのように努力を重ねているかを、その人自身の言葉を通じて知ることができる貴重な場だと感じています。先生方の研究や教育への思いを垣間見られることも学報の魅力の一つです。新しく始まった今年度もまた、本誌を通じて学生のみなさんや先生方の言葉に触れられることを楽しみにしています。都留文科大学広報委員会都留文科大学報 第155号 2024年7月8日発行吉岡卓(委員長)・日向良和(副委員長)・加藤浩司・加藤めぐみ・堤英俊・菊地優美・小島恵上野貴彦・原和久・安富博史(企画広報担当)・大輪知穂(IR担当)・舟久保薫(キャリア支援センター担当)・天野麻由(企画広報担当)・奥脇開斗(企画広報担当)〒402-8555 山梨県都留市田原3-8-1☎0554-43-4341 URL:https://www.tsuru.ac.jp/最初の一年を終えて学校教育学科 菊地 優美1月、白く凍りついた都留の山Japanese Perspectives on Kazuo Ishiguroアメリカ哲学入門ナンシー・スタンリック 著三蘇蜀学の研究 北宋士大夫による儒家経典解釈の展開荘中孝之・三村尚央・森川慎也(共)編加藤めぐみ 他 執筆2024年1月発行Palgrave Macmillan ◇加藤 めぐみ 英文学科 教授藤井 翔太 訳・解題2023年9月発行勁草書房 ◇藤井 翔太 国際教育学科 講師陳 佑真 著2024年3月発行京都大学学術出版会 ◇陳 佑真 国文学科 講師藤井翔太訳解題陳佑真著ぶんいだ堂令和6年6月4日(火)、名誉教授 安宅 正路氏がご逝去されました。ここに先生の生前の御功績を偲び、謹んで哀悼の意を表します。訃報

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