大学報155
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文大に着任するにあたって漢文学担当新任教員の陳佑真と申します。三月まで三年間、帝京大学史学科に勤めましたが、このたびご縁があり本学へ移籍いたしました。専門は儒家経典の解釈史で、特に中国宋代における注釈学に関心をもっております。三月に上梓した『三蘇蜀学の研究』では北宋時代の蘇軾らがそれまでの経典解釈をどう変容させたのかを、当時の士大夫中心の国家構造とのつながりに着目して分析しました。今後はそれより後の時代の学術史に、また、儒学の日本文化とのかかわりに研究の幅を広げようと考えています。国文学科をはじめとする教員や学生の皆様から研究上の刺激を受けることを楽しみにしております。文大に着任してまず、研究室の蔵書の充実ぶり、そして学生諸氏の堅実な学習態度に感銘を受けました。諸橋初代学長以来の伝統をもつ本学漢文学を担当する喜びとともに、この良き学風を守り伝えねばならないという責任を感じています。本学の学訓の出典である「菁菁者莪」の詩では、学生に喩えられるツノヨモギたちは教育者たる「君子」に出会い、「楽」しみ「喜」ぶ、と歌われます。文大の教員として、若いツノヨモギたちを「助長」するのではなく、主体的に漢文の面白さに触れて楽しみ喜びながら漢文との一生のつながりを作るお手伝いをする「君子」となれるよう努めてまいります。国文学科 講師 陳 佑真ツノヨモギとともに蘇軾ら三蘇の経典注釈書・両蘇経解。儒学の教養により朝政に参与する士大夫としての問題意識に基づく独自の解釈が多く含まれ、のちの朱子学にも大きな影響を与えた。9都留文科大学報 第155号
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