学報156-1
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夏季休業を利用して学外に学ぶ 私はこの夏に、地域社会学科の佐脇英志先生のゼミ企画にて小菅村を視察した。人口600人ほどの村であり、近くのスーパーまで車で30分以上もかかるような山間部に位置する。 はじめに、このような過疎地域でドローンを用いた先進的な取り組みを行うエアロネクスト社へ訪れた。ここではSky Hub®というデジタル技術と最新のテクノロジーを活用した「新スマート物流」の見学を行い、地上の物流と空中のドローン物流が連携することで効率的な物流を提供する仕組みを学んだ。 その後、村長へのインタビューから「日本の縮図である小菅村が何とかなれば、日本は何とかなる」という思いのもと進められている様々な村づくりについて理解を深めた。 最後に、クラフトビールの製造販売をし、世界28ヵ国へ輸出をするFar Yeast Brewing源流醸造所にて工場見学、代表取締役社長の山田さんからお話を伺うことができた。「ビールの多様性と豊かさを取り戻す」という山田さんの思いと地域活性化の考えをもとにした取り組みなどについて学んだ。 今回の視察を通して、地域社会と企業の協働による地方創生の先進的なモデルを学ぶことができた。この身近な学びを新たな学びへと繋げていきたいと感じる。 鈴の音で太陽を迎える。寺院ではプジャをして回る人々がいる。車道では鶏、犬、ヤギ、水牛が闊歩する。以前からの調査計画が白紙に戻った朝である。昼にはタンプーラの出すドローン(持続音)に身を委ねた。ドローンは喉の振動に共鳴し、倍音へと変化する。僕は南アジアの音楽学校へと転がり込んでいた。 それでも現地へ足を運ぶことで知ることはある。バレン・シャハは若干34歳元ラッパーで現役市長である。彼の快進撃は止まない。サマクスィー(samakhusi /सामाखुसी)道は整備され、車の往来が加速していた。露天商や野良犬グループはその場を離れ、以前には無いファストファッションの店が何軒も立ち並ぶ。車道整備と共に道の質(利用方法と利用者)も変化している。ディーゼル車は電気自動車に変わりつつあり、咽せかえる排気ガスは減っていた。音楽学校周辺はまだこの波には呑まれていない。 ここはネパール。食べる分だけ人の繋がりが増えるダルバートは、混ぜることで本領を発揮する。タンプーラも声を混ぜ、美しい響きを導いていた。自身の五感・偏見を持って、現地で混乱し、如何に自身の生きる社会が異質なものかを知ることができる。これこそ比較文化であると僕は考える。毎週土曜日の子供向け無料開校日の様子 奥に並ぶ楽器がタンプーラFar Yeast Brewing 源流醸造所での集合写真地域社会学科3年松木 生比較文化学科4年 佐川 颯一朗学ぶものは身近にあるタンプーラと、電気自動車と、食と。―加速する社会にて102024年12月9日(月)
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