学報156-1
21/32

講演会だより 2024年7月20日(土)、都留文科大学地域社会学会主催において、小川幸司先生を講師にお迎えして、高校新科目『歴史総合』についての講演会を行った。 講演内容は、「歴史総合との対話」というテーマで、自ら高校で実践した歴史総合の授業をギャラリーに問いかける形式やギャラリーをグループ化して話し合う場面もつくり、講演会というより、ワークショップを取り入れ、ギャラリー参加型の会で行った。特に印象的だったのは、有名なカフカの『変身』を導入として、次の問を出す。「カフカは生前、『変身』のザムザを挿絵にすることを固く禁止していた。私は、その理由について、変身したのはザムザ(→虫に変身)だったのか、それともザムザの家族のほう(→ザムザを虫扱いする人に変身)だったのか、両方の可能性を残したかったからだと思っている。人間がある朝目覚めたら「人間扱いされなくなっていた」(まるで虫のように扱われていた)という事例を、歴史のなかから挙げてみよう。その場合、誰の考え方がどのように変化したことで「人間扱いされなくなっていた」という事例が生じたのだろうか。ここから1600年代からのスペインの先住民支配から始まる人種、民族問題、現代のパンデミックによる差別、LGBTQの人々への差別に繋げていくのである。小川先生の深い教養が生み出す問いに参加していた学生にも将来の良い影響を与えたかと思う。 今回、4年社会科ゼミのゼミ生や私が世話人の一人として活動している中等社会科実践研究会の協力も得た。盛況な講演会であった。地域社会学科教授 西尾 理講師紹介高校『歴史総合』との対話地域社会学科主催講演会開 催 7月20日(土)  講演者 小川幸司氏21都留文科大学報 第156号

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る