学報156-1
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本年度(令和6年度)の完成を目指して新棟の建設工事が進んでいます。新棟は、音楽棟の西側にある「つる湧水のほとり整備プロジェクト」事業地に建設されており、名称も「つるフィールド・ミュージアム」に決定しました。 「ミュージアム」という名が付いていますが、学びを支える環境の整備に力を入れています。また座学の学びだけではなく、地域の中で事象や活動にじかに触れる、機械的な暗記とは異なる生きた学びを経験できる施設を目指しています。 たとえば新棟の2階には、教員免許に関連した授業や実習で重要な家庭科の教室や実験室が配置されます。ここには被服についての専門的な実験室が設けられ、染め物なども本格的に体験できるようになります。安全性に配慮したIH調理実習室も整備され、オーブンも各面台に設置されることになります。こうした施設は、私たちの生活に不可欠な衣・食・住について学び、豊かな食体験などを通じて地域の環を育む場となることでしょう。 1階には20人規模の授業や実習、ゼミを想定した教室があり、学生と市民との交流事業や公開講座などにも活用できます。 学びを支える環境は教室だけではありません。本学の地域での取り組みは長い歴史をもち、教員や学生、市民がさまざまな教育・研究の実践を蓄積してきました。そうした諸実践の貴重な資料も数多く残されています。それらを学習材として誰もが活用できるようアーカイブズをさらに充実させます。 新棟では、自然環境に恵まれた本学の特色を生かし、自然との共生も重視しています。キャンパスには、ムササビも生息している森がありますし、キンランやカワラナデシコなど絶滅が危惧される植物も生育しています。本学の生物多様性に資するよう、保全とともに生きものの賑わいを感じられるビオトープを整備します。オミナエシやキキョウなど教科書に登場する植物を言葉だけでなくビオトープでじかに触れて確かめる経験は、学びをさらに豊かなものにしていく契機となるでしょう。 近年、「フィールド・ミュージアム」やそれに類した名称の大学施設が各地に誕生しています。しかし、地域を博物館(ミュージアム)に見立て、自然や文化の事象に親しみ、じかに触れ、学びを深めていこうとする本学の「フィールド・ミュージアム」構想はこうした大学施設の先駆となるものです。 特色ある本学の取り組みを世界にも発信し交流の輪を広げていきたい。「つる」という表記にはそのような想いが込められています。新棟の名称は「つるフィールド・ミュージアム」に決まりました学長補佐 北垣 憲仁■1階の多世代交流スペースのイメージ■2階の被服室のイメージ特集62024年12月9日(月)
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