学報157
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 卒業おめでとうございます。皆さんはこの春、都留から/文大から/ムーミン谷から、離れ/追い出され/脱出して行きます。ここでの数年は、学問に、遊びに(推し活?)、部・サークル活動(ガクチカ?)に、力を注いだ濃い時間だったことでしょう。しかしこの自由な時間に比べれば、その後の方がずっと長い。学生時代とはまた別の、意義深い時間を過ごして欲しいと思います。 「仕事をしていて達成感を感じるのはいつか」というインタビューを、自分の子どもからされたことがあります。キャリア意識の課題だったようです。少し考えて出した答えは、「関わった学生が卒業後に社会の中で元気にやっているのを知った時」というものでした。ゼミ生が真剣に取り組んだ卒論を受け取った時というのも考えましたが、そこは学生にとっても教員にとっても最終目的地ではない。卒論のその後こそが大事だと思うからです。 出張仕事や飲み会などでゼミの卒業生と再会すると「もう一度ゼミの議論の場に参加したい」とよく言われます。もちろん懐かしさゆえのお世辞かもしれませんが、もしかしたら実社会は、それなりに厳しい教員だと自負している私のゼミよりも、ずっと厳しく辛いバトルフィールドなのかもしれません。でもそう言って笑う卒業生たちは不満も愚痴もありながら生き延びている、自信に満ちた顔をしています。 卒業生の皆さん、これからの長い時間の中で、ぜひ元気な姿を見せてください(○○はワシが育てたなんて決して言いません:笑)。そしてもし、元気のない時には、ここに元気を充電しに来て下さい。そういう逃げ場としてもあり続けたいと思っています。国文学科教授 古川 裕佳これからの長い時間でくることば立つことばお旅11都留文科大学報 第157号

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