学報157
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「都留文科大学 恥ずかしい」というサジェスト すぐそこに疾い雲桃あげて桃さげないで桃さげてみたいに六年間は過ぎおり雨の日に限って夕陽だけきれい ありがとうって言ってみるだけ赤色の煉瓦が桃色だとしても変わらない会釈の角度とかエンパシー・イズ・マネー ここは〈地方〉でも〈地方都市〉ではない健やかさ独唱のようにあくびを噛み殺しコンビニは聖域にはならず四捨五入しても高尾にならないよ 愛は勝つ、愛以外勝たない僕だけが一ヶ月後にはいない街でチョコチップメロンパンを食べてるどうしても背負いきれない分断の(といってもどこのスーパーに行くとかの)たしかに有吉は老けない うれしくて鳩になりたい土鳩ではなくありがとう夜中の散歩 ありがとう 髪が、風だから、仕方ないね侍はエモい 昨日が一昨日になるときに詩はさらに詩的に雨に匂いはあるけど雪にはあんまりなくて 逆立ちがよく似合うあなたは笑ってもいいけど笑われたくはない なのに横書きのエンドロールを明日よりとおくに星を連れ去って空は201色目の白――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 僕の学生生活は、研究としても個人的な活動としても短歌と共に過ごしてきました。だからこそ、最後も短歌で締めさせてください。これは僕の6年間の学生生活に対する感想であり感傷でもあります。そして、すべての関わってくださった方々に感謝をこめて。 「Every day is a new day.」というヘミングウェイの言葉の通り、都留での6年間は刺激と変化に満ちた日々でした。多くの出会いに恵まれ、友人たちと過ごした時間はかけがえのない宝物です。夜遅くまで語り合い、お酒を酌み交わし、時には麻雀卓を囲んで人生観を語り合った日々は、研究成果と同じくらい私の人生を豊かにする財産です。 一方で、大学院での研究生活は挑戦の連続でした。偉大な作家たちの作品に触れ、いかにして文学を解釈するかの喜びを感じつつ、その奥深さに圧倒され、自分の力不足を痛感することもありました。講義で劣等感を覚える日もありましたが、「自分にできることは何か」と問い続け、粘り強く物事に向き合う姿勢を養うことができました。この経験は、学問を超えて私自身を大きく成長させてくれました。 振り返ってみると、この地で大学院進学を決意したことは、私の人生において重要な転機となりました。この6年間、困難もありましたが、最後までやり遂げた自分を誇りに思います。また、指導教員の儀部先生をはじめ、多くの先生方や出会った仲間たちの支えがあったからこそ、ここまで歩んでこられました。心より感謝の気持ちを伝えたいと思います。 これからも新たな挑戦を恐れず歩み続け、学んだ知識や経験を次の世代へ還元していきます。大学院文学研究科 国文学専攻松澤 海飛大学院文学研究科 英語英米文学専攻弓野 敏滉短歌連作「横書きのエンドロール(あるいは、ありふれた事々)」未来を築く6年永遠が見馴れた駅に降り立ったきっと明日はラララでルルる二年間お世話になった研究室旅立つことば182025年3月10日(月)
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