学報158号
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 今年度から文学部国文学科の「日本文化」を担当することになった脇田裕正と申します。比較文学の視点から近代日本文学が欧米文学から受けた影響について研究してきました。    現在の私の主な研究テーマは、詩人・批評家・編集者として知られる春山行夫の戦後の活動を検証していくことです。春山は海外文学を紹介するだけではなく、映画批評や紅茶や宝石の歴史といった雑学的なエッセイを書いています。さらにラジオのコメンテーターとしても活躍しました。このようなジャンル横断的な春山の活動は「日本文化」とは何かを考えるヒントになります。 ゼミを始めとした授業では、春山のような様々なジャンルを移動し続ける者に焦点を当て、「日本文化」の多様性とそのダイナミズムの様相を色々と紹介していきます。授業では、「日本文化」は、世界の様々な文化との相互交流のなかでその輪郭が見えてくることに焦点を当てていきます。「日本文化」を学ぶことは、グローバル化する現代社会の喫緊の諸問題を考えることに繋がっていくことを、授業のなかで学生の皆さんは実感していくことができると思います。 新任として私も学生のみなさんと同様に学びの途上にあります。どうぞよろしくお願いします。 今年度4月に着任しました、軽部利恵です。文学部国文学科には時代や地域を越えた幅広い学びの蓄積がありますが、そのうち国語学(古代語)ゼミを担当します。 授業では、日本語の歴史を語るうえで欠くことができない文書を講読したり、学生と議論しながらテキストを読み進めたり、日本に文字が登場した当初からのコミュニケーションのあり方を見きわめるなど、現代にまで読み継がれた文献資料と向き合い、そこに残されたことばを観察・記述・分析するということを行っています。どの授業でも、数理ではあらわすことができないような、ことばの世界の面白さ、その興味深さを伝えられるよう、心がけています。 都留文科大学の学生は、卒業後、教職をはじめとしてさまざまな進路へと歩まれますが、文字やことばを使ったコミュニケーションはいずれの進路においても欠かせないものです。昔の人々が文字やことばを使ってどのように読み書きを行い、それによってどのような意味がもたらされたのかについて理解を深めることは、私たちが日頃行うコミュニケーションがどのような意味を担っているのか、見つめ直すきっかけになると思っています。 今後とも、学生のみなさんが、よりよい人生を歩めるように、研究・教育に専念したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。学会発表の様子近代日本のモダニズム文学を代表する詩誌『詩と詩論』着任のあいさつ「着任に寄せて」国文学科 講師 軽部 利恵国文学科 准教授脇田 裕正文大に着任するにあたって13都留文科大学報 第158号

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