学報158号
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 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。都留文科大学の教員・職員を代表して、みなさんのご入学を心よりお祝い申し上げます。また、ご家族の皆様にも心よりお慶びを申し上げます。 今年も、日本全国から、さらには海外からも、学部・大学院合わせて850名を超える新入生をこの都留の地に迎えることができました。皆さんは、今、これからの大学生活、キャンパスでの講義やゼミ、仲間たちとの部活やサークル活動に大きな期待を寄せていることでしょう。海外への留学や語学研修を計画している人もいるかもしれません。今日入学したみなさんが、都留文科大学で充実した学生生活を送ることができるように、教職員一同、全力でみなさんを支援していきます。 本学、都留文科大学は、1953年に設立された山梨県立臨時教員養成所から始まりました。第二次世界大戦後の、特に地方での深刻な教員不足に対応するため設立された、臨時の教員養成所でした。1955年、教員養成所が都留市立の短期大学となり、さらに4年制の都留文科大学へと発展し、現在に至ります。本学がそのルーツから、教員養成という日本の将来を担う子どもたちを育てるための人材育成を目的としていたこと、また、都留市の市立大学として創設されたこと、この2点は今も都留文科大学の根幹です。今日から都留文科大学の学生となったみなさんにも、ぜひこのことを覚えておいてほしいと思っています。 そして、2025年の今年、都留文科大学は、短期大学創立から数えて70周年を迎えました。みなさんは、大学70周年の記念の年に入学した特別な学年であることも、ぜひ心に留めておいてください。 さて、今日はここでみなさんに、都留文科大学で何を学んでほしいか、どう学んでほしいかをお話したいと思います。 昨年4月、本学では新しいカリキュラムをスタートさせました。カリキュラムとは、みなさんがこの大学で、学びの目標を達成するために何をどのように学ぶかを定めた総合的な計画です。このカリキュラムでは、みなさんが所属する各学科の専門分野を効果的、かつ、体系的・段階的に学ぶことができるようになっています。一方で、副専攻プログラムを設置し、みなさんが自分の興味関心に応じて、また、将来のキャリアを見据えて、学科の枠をこえて幅広く実践的に学ぶコースも用意しています。そして、本学のすべての学科が、カリキュラムのゴールに、卒業のための必修科目「卒業論文」を掲げています。 学びは大きく分ければ「インプット」と「アウトプット」から成り立っています。講義や文献調査、フィールドワークなどを通して知識やスキルを獲得するのがインプット、ゼミでの発表やレポート・卒業論文の執筆がアウトプットと言えるでしょう。インプットがなければアウトプットはできませんし、アウトプットがなければインプットを役立てることはできません。みなさんは、4年間の学びを通して、このインプットとアウトプットの能力を体系的・段階的にバランスよく身につけ、その集大成としての「卒業論文」を執筆することが求められています。 しかし、現代では、ネット検索で必要な時に必要なインプットが可能ですし、生成系AIを利用すればそれなりのアウトプットができるため、「卒業論文も楽勝でしょ」と考える人もいるかもしれません。 そこで、2か月ほど前に一部の大学関係者で注目された、ある大学のある先生のSNS、Xへの投稿を紹介しましょう。それは、その先生の担当する法律関連の科目の学期末レポートについての投稿でした。与えられた課題に対して裁判の過去の判例を踏まえながら自分の意見を述べるというテーマのレポートだったようですが、学生が提出したレポートのいくつかで、レポート内で取り上げている判例の存在が確認できない、という内容でした。その先生は大変すぐれた研究者で、学問に対して誠実で謙虚な姿勢をお持ちの方で、判例の存在が確認できないのは自分が十分に探し出せていない可能性があるので、該当するレポートを提出した学生にメールを送りました。レポートで取り上げた判例がどの判例集、どのサイトにあるのか教えて下さい、と続けて投稿していました。Xに投稿したのは、メールに気づかない学生のために、複数の連絡手段を取ったものでしょう。学長祝辞都留文科大学学長加藤敦子都留文科大学入学式都留文科大学入学式――今年の入学者は851名――今年の入学者は851名22025年7月7日(月)

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